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おぢばにおかえり

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第七十九話 残さないことその二

「私には言わないのね」
「先輩の何処がブスなのか」
 それがというのでした。
「わからないですよ」
「美人って言われたこともないわよ」
「世の中わかっていない人が多いですね」
 結構以上に本気な色のする言葉でした。
「それはまた」
「そうかしら」
「はい、本当に先輩でしたら」
 私をじっと見て言います。
「アイドルでも声優さんでもですよ」
「トップなの」
「しかも声もいいですから」
 こちらもというのです。
「もうどちらでもですよ」
「それないでしょ。私がアイドルって」
「いけますよ」
 やっぱり本気な感じです。
「先輩なら」
「だからそう言うのはね」
「僕だけですね」
「そうよ、私がアイドルとかね」
 もうどう考えてもです。
「有り得ないから」
「声優さんもですか」
「新一君だけ言ってるから」
 本人さんに告げました。
「そんなことはね」
「世の中間違ってますね」
「私が可愛いって誰も言わないから?」
「はい、どうかしてますよ」
「そうかしらね」
「そうですよ、先輩ずっともてなかったんですか」
「告白とか経験ないわよ」
 されたこともしたこともです。
「男の子のお友達は多いけれど」
「それはいいことですね」
「けれど彼氏さんはね」
 そうした人はです。 
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