料理上手のお父さんのお弁当
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第一章
料理上手のお父さんのお弁当
幼稚園児の井原真央の父である研一の職業はシェフだ、スペイン料理のチェーン店でいつも腕を振るっている。
茶色の地毛の髪の毛をショートにしていて二枚目と言っていいきりっとした顔立ちで顔は細い、背は一七五位ですらりとしている。
家では優しくいい夫で父親だが一つ特徴があった。
「お仕事だからなの」
「ああ、家で作るならな」
休日は家族に料理も振る舞うが妻の麻子に話した、麻子は黒髪を長く伸ばしやや切れ長の目と細く長い眉を持っている。薄く赤い唇で顎は尖っていて色白で背は一五五程で均整の取れたスタイルをしている。麻央は彼女そっくりである。
「和食にしたいんだ」
「それで今日はお刺身なのね」
「そうだよ」
ハマチの刺身を出して話した。
「頭とかはお味噌汁にしたし」
「そうしてるのね」
「カルパッチョだと思うよな」
妻に笑って尋ねた。
「僕が生魚を調理したら」
「ええ」
妻もそうだと答えた。
「それはね」
「けれどそれはお店のことで」
「お家で作るならなのね」
「こっちの方が好きだよ」
和食の方がというのだ。
「作るにしても」
「お店はお店ね」
「そっちは仕事だから」
あくまでというのだ。
「本当にね」
「お家では和食ね」
「そうだよ」
「じゃあ今度ね」
妻は夫にそれならと話した。
「真央のお弁当だけれど」
「給食のない日の」
「あなたが作るって言ってるけれど」
そうした時は普段は麻子が作っているのだ、彼女はスーパーのパートで専門職でないがそれなりに料理が出来るのだ。
「何作るの?」
「それは真央のお楽しみだよ」
「そうなのね」
「真央、楽しみにしていてくれよ」
一緒に食べている娘に笑顔で話した。
「お父さんのお弁当をな」
「どんなお弁当作ってくれるの?」
「その時のお楽しみだよ」
父は娘に笑顔で言った、この時はそれで終わりだった。
そしてそのお弁当の日だ、彼は娘に朝早くから起きて作ったそのお弁当が入った箱を布に包んで笑顔で出した。
「じゃあな」
「うん、このお弁当ね」
「楽しみにしているんだぞ」
「それでお昼によね」
「食べるんだ、いいな」
「そうするね」
娘は父ににこりと笑って応えた、そうしてだった。
その弁当箱を持って幼稚園に行った、まずは午前中を皆と一緒に楽しくお遊戯をして過ごしてだった。
お昼になると弁当箱を開いた、すると。
「あっ・・・・・・」
「それが真央ちゃんのお弁当なんだ」
「凄いね」
「凄く可愛いわ」
「うん、そうだね」
真央はちいかわの主人公の顔が奇麗に再現された弁当を見て言った、白いご飯に色々な食材使って作っている。
他のおかずもある、そしてデザートもあるのを見てクラスメイト達に応えた。
「お父さんが作ってくれたけれど」
「へえ、お父さんがなんだ」
「お父さんが作ってくれたの」
「そのお弁当そうなんだ」
「お父さんシェフだから」
それでというのだ。
「今日は作ってくれたけれど」
「凄いね」
「そんなお弁当作れるなんて」
「真央ちゃんのお父さん凄いね」
「シェフって凄いね」
「うん、本当にね」
真央は幼い顔を満面の笑みにさせて応えた。
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