わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ
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12-2
試合の当日、11時からなので学校に8時半に集まって、軽く練習をして向かう予定だった。ラインパスの練習をして、身体もぶつけ合っていた。
国守先生も来ていてくれて「元クラスの4人が居るのに、知らんぷり出来ないだろう 一緒に行くよ」
「先生 元クラスって?」
「うん まぁな・・・ 今日は頑張れよ」と、はぐらかせていた。
30分前位に着いて、河川敷のグラウンドで、30人位が声をあげながら走り回っていた。その活気ある走りに私達は圧倒されていたのだ。
紅林先生が相手のコーチに挨拶に行っている間に、充ちるがやって来て
「ごめんなさい フォワードの高校生が集まらなくて、社会人の3人なの、でも、そんなに経験は長い人達じゃぁないけどー バックスはみんな中学生なんだけど・・」
「ええよー 充ちる ここまで来たら同じやー ウチ等 ぶつかっていくだけやから」
試合が始まって、私達は緊張してしまってボールが手着かなくて、ノッコンが多くて、スクラムから出されたボールを繭子がフォワードの背後にキックしてきて、相手になだれ込まれて、開始早々にトライを挙げられていた。
そして、その後も相手の強烈なタックルにノッコンをしてしまって、スクラムから出たボールを繭子は今度は璃々の後ろ目掛けてキックで攻められて、連続でトライされてしまっていた。
「みゅん あの子 ウチ等がバックアップが遅いことわかってるんだわ ウチとみゅんで突っ込んで行って、キックする前につぶすわよ 決して、ウチ等は押されてるわけじゃぁないわよ 気を引き締めて行くよ」と、泉希がハッパを掛けてきて、その間に向こうのコンバートは外れて12-0になっていた。そして、璃々の「ここからよ 突きすすむよ!」という璃々の掛け声で・・・
向こうのドロップキックで再開されて、栞奈~美玖へ、そして桜が突進して行って、私が・・・ボールを持ちすぎて、泉希へのパスが遅れてしまって、泉希は二人にタックルされて前に落としてしまった。だけど、スクラムの後、泉希と私は突っ込んで行って、もみ合いになって、ノットリリースボールで私達はペナティキックを得ていた。そして、栞奈がドロップキックで決めて・・・初めての私達の得点だった。
その後も、繭子を抑え込んで、私達は押し気味で進めていて、前半の終了間際、私は泉希にサインを送って「桜な」と。出したパスを泉希が突っ込んでいって、その脇に璃々が・・・回り込んだ私がパスを受けて、タックルに来たのを横っ飛びで交わして、相手のウィング目掛けて走って・・・最後は朝陽に・・・朝陽は右隅に飛び込んでいたのだ。私達の記念すべき初トライだった。
「いいぞー 対等に戦えている タックルもちやんと出来ているしな! ・・・泉希 さっき 足痛めたんだろ? 交代だ 璃々 スタンドに入れ センターは美鈴が入れ」と、ハーフタイムの時に、紅林先生が
「先生 ウチ 大丈夫だよ 出来る」
「無理するな! 戻ってくるとき、引きずってたじゃぁないか 全員プレーだ それと、今度は向こうはフォワード中心で攻めて来るぞ 固めろよ!」と、後半が始まった。
私達のドロップキックから始まったのだけど、繭子は直ぐにスタンドオフの充ちるにパスをして、充ちるはフォワードの後ろに逆方向のパントを上げて、怒涛のようにフォワードを中心に攻めてきて、止められなくて、あっという間にトライされてしまった。この時19-8だった。
「1ゴール、1トライかぁー」と、私は・・・朝陽に託そうと思った。そして、璃々に・・・「あれ やるよ」と、璃々とは初めてなんだけど「わかった」と返事が返ってきた。そして、逆サイドに位置した朝陽に眼でサインを送ると頷いていた。
キックを受けた桜が突っ込んで行って、美玖と栞奈も・・・私は、スクラムからを想定していたのだけどもラックから出たボールを無理やり右に流れて行って、繭子とフォワードの連中を引き付けて、後ろの璃々にパスを・・・璃々は、逆サイドの朝陽に長いパスを・・・そして、朝陽はステップをしながら相手を振り切って、追いすがる相手にも差を広げてフリーになって、ポストの真ん中に飛び込んでいた。
その後、朝陽に代わって鈴花が入って、そして、終了間際になって、桜が
「みゅん 時間無いからな 今度ボールが出たら、相手のスタンド目掛けて突っ込んでいきな、ウチ等がフォローするから、意地でも持って行くよ さっきの仕返しだ」と、さくらがボソッと言ってきた。
その直ぐあとに、ラインに回してゴール近くで鈴花が掴まって美鈴がラックを作って、ボールが出た時、私は璃々にパスをする振りをして真直ぐに突っ込んで行って、栞奈にパスを・・・その後は美玖が突進して受けて、さくらに・・・そして、私も璃々も参加して押して行った。向こうは、タッチラインに押し出そうとしていたけど、最後は美鈴と鈴花が参加してきて全員でゴールラインに倒れ込んでいた。最後は、さくらがしっかりと押さえ込んでいたのだ。そして、彼女はしばらくの間、動かなかった。コンバートは失敗していたけど、終了のホイッスル。19-20で勝った! 私達の大きな1歩だった。でも、璃々が「喜んで飛び跳ねるのはダメよ 普通にしてよー まだ 1歩なんだから」と、皆の歓びを押さえていたのだ。
「やられましたなぁー 試合前は甘く見ていたんですがー 試合が進むにつれて強くなってきていた フォワードなんかはほぼウチの正規なんですよ 互角にやり合っていた 素晴らしいですね タックルなんかでも確実に膝に決めて・・なかなか中学生の女子では出来ないんですわー それに、ひとりひとりが・・・良いメンバーです 後半は皆の気迫が伝わってきていて ウチも圧倒されてましたよ 最後はその気迫に押し負けてしまいました まだ、やり始めて1年もたたないとかー いや 又 ぜひとも練習試合をお願いしますね」と、向こうのコーチが褒めてくれた。そして、充ちると繭子もやってきて
「やっぱり すごかったネ みんなの結束が強いわー ウチ等 また 練習に参加させてもらっても、良いかなぁー?」
「うん 色々と教えてもらったお陰ヨ また 一緒にやってちょうだい」と、璃々も返していた。
「みゅうみゅん 前と動きがぜんぜんちがったわネ」
「まぁ 繭子の動き方を見て 学んだの」と、私は感謝していたのだ。
そして、見に来ていた人の中に校長先生の後ろ姿が見えたのだ。やっぱり気にしていてくださったのだ。
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