縁を切る神社
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第一章
縁を切る神社
前島祈里には好きな相手がいた、それでだった。
告白の前に神社に行って恋愛成就の祈願をしてお守りも買おうと思った。それで通っている中学の近所の神社に行くことにした。
学校の授業が終わって部活帰りに行こうと思っていたが。
クラスメイトで同じ部活の外古場樹里にふと誘いをかけられた、大きな明るい目で黒髪を後ろでポニーテールにした日に焼けた丸めの顔と赤い奇麗な唇を持つ背の高い少女である。小柄で黒髪をロングにして大きな垂れ目で優しい顔立ちの祈里とは全く違う雰囲気である。
「本屋行かない?」
「あっ、ちょっと神社に行くの」
祈里はこう言って断ろうとした。
「願かけにね」
「願かけ?どの神社?」
「学校の近所のね」
「あそこに?」
「ちょっとね」
「ひょっとしてだけれど」
祈里が何故そう言ったか、樹里は考えつつ言った。
「誰か好きでとか」
「あっ、それは」
まさにそうだったのでだ、祈里は顔を赤くさせて慌てて取り繕った。
「そのね、何て言うか」
「ああ、言わなくていいから」
樹里は祈里の気持ちを察して笑っていいとした。
「そこはね」
「そうなの」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「あそこそうした目的で行ったら駄目よ」
「駄目なの」
「そう、あそこの神社はね」
こう言うのだった。
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