X ーthe another storyー
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第五十三話 幸福その三
「私と一緒に」
「それはまさか」
「そのまさかです」
そうだというのだ。
「二人で暮らしていきましょう」
「教会で。そして」
「お家で」
それでというのだ。
「暮らしていきましょう」
「私でいいのかい?」
いぶかしむ顔になってだ、彼は言った。
「そうしても」
「はい、神父様がよければ」
「ならお願いするよ、ずっとね」
「私を護ってくれて」
「教会にいてもらったけれど」
「これからはです」
「そうした意味でもだね」
「ご一緒させて下さい」
「それではね」
二人はお互いに歩み寄った、そしてだった。
二人は一緒になった、火煉もそうなった。
征一狼は家族といた、公園で遊んでいたが。
「楽しいですね」
「ええ、とても」
「そうよね」
妻も娘も笑顔で応えた。
「楽しいよね」
「こうして遊んでいたら」
「一緒にいられること自体がです」
家族と、というのだ。
「とてもです」
「あなたにとっては楽しいことなのね」
「最高に」
妻に答えた。
「とても」
「そうなのね」
「僕の宝ですから」
家族はというのだ。
「ですから」
「それでなのね」
「これからもです」
「編集者として働いて」
「それが終われば」
それからはというのだ。
「お家に帰りまして」
「休日にはこうして一緒にいて」
「幸せでいたいです」
「ずっと」
「そうです、ただ」
「ただ?」
「やっぱり成長すれば」
娘を見て少し苦笑いになって話した。
「反抗期になって好きな人が出来て」
「結婚もして、よね」
「僕達のところから離れますね」
「そうなるわね」
「そうもなりますね」
「そうね、けれどね」
妻は夫に話した。
「そうなることはね」
「どうしてもですね」
「あることだから」
「親なら」
「だからね」
それ故にというのだ。
「受け入れて」
「親として」
「見ていきましょう」
「そうすることですね」
「それも親のすることね」
「そうですね」
妻の言葉に頷いた。
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