メジャーの年俸
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第二章
「これだけなのもわかるかしら」
「日本とは桁が違いますね」
「いや、アメリカは凄い人にはお金出す国だけれど」
それでもとだ、美奈子は思って言った。
「やっぱりインフレとかもあって」
「今あっち大変らしいですね」
「物価もね」
「ニューヨークなんか特に」
「そうらしくて」
それでというのだ。
「これだけになっているのかしら」
「今どの国も大変ですしね」
「ええ、ただそれでもね」
「あっちは凄いですね」
「桁が違うわ、そんなにお金があったら」
美奈子は考える顔になってこうも言った。
「本当に一生安泰よ」
「そうですよね」
「こんなスター選手だったらなってね」
「思いますね」
「野球じゃなくてもあっちは凄いでしょ」
「スター選手になれば」
「それならね、まあそれはね」
今度は苦笑いになって寿美香に話した。
「お伽噺みたいなものだってね」
「思ってですね」
「そしてね」
それでというのだ。
「私達はね」
「この会社で働いてですね」
「お金稼ぐことよ」
「そうですね」
「まあ悪い会社じゃないし」
自分達の会社の話もした。
「ホワイトでね」
「そうですね」
「家に帰れば猫がいるし」
「私はグッピーです」
「今度合コンあるし」
「いい彼氏さんに会えればいいですね」
「そんなことも考えながら」
そのうえでというのだ。
「働いていきましょう」
「はい、私達は」
最後はそうした話をした、そしてだった。
二人はおしゃべりに夢中で飲んでいなかったそれぞれのコーヒーを飲んでから仕事に戻った、そうしてメジャーの話は忘れてそちらに神経を集中させた。二人の仕事の合間の一幕である。
メジャーの年俸 完
2024・1・21
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