金木犀の許嫁
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第一話 お見合いその四
「忍者とはね」
「無縁ね」
「私もね」
真昼も言ってきた。
「そうだしね」
「そうよね」
「けれどご本家は」
「まだ忍者のね」
「そうだ、けれど別に忍者でもおかしなことはないだろ」
父は娘達いにその忍者達のことを話した。
「壁や水の上を歩いたりするなんてな」
「しないというかね」
「ないからな」
「あと大蝦蟇呼ぶとか」
「それは妖術だ」
こちらになるというのだ。
「また別だ」
「そうよね」
「普通に隠れたり道具を使うだけだ」
「それは私もわかってるわ」
「私もよ」
真昼も言ってきた。
「だって学校に忍者部あるし」
「忍術部ともいうわね」
「昔からあってね」
「忍術やってるしね」
「だからお父さんも八条学園に通ってただろ」
「お母さんもね」
父だけでなく母も言ってきた。
「だからね」
「知ってるからな」
「そうよね、そんな昔の漫画みたいな」
夜空は両親にあらためて話した。
「そんなことはないわよね」
「漫画といっても古いな」
「そうなの?」
「昭和三十年代か」
父はこう返した。
「もうそれはな」
「古過ぎる?」
「幾ら何でもな」
それこそというのだ。
「古過ぎるだろ」
「お父さんもお母さんも生まれてないから」
母も言うことだった。
「そんな頃の忍者はね」
「有り得ないぞ」
「ご本家は本当に普通よ」
「普通の忍者だからな」
「武道はしていても」
「妖術はしていないわ」
「そうよね、だからわかってるから」
夜空はまた言った。
「安心してね」
「常識で考えるとそうだしな」
「まあ忍者についてはそういうことでね」
「わかってるから、それでよね」
両親にあらためて話した。
「今度の第二日曜日に」
「行くぞ」
「一家でね」
「服は何がいいかしら」
夜空は今度はこちらの話をした。
「それで」
「制服でいいだろ」
「真昼もね」
両親は彼女にも言った。
「一緒だけれど」
「二人共制服だ」
「学生さんだからね」
「それでいいぞ」
「わかったわ」
夜空がまず応えた。
「制服着ていくわね」
「私もね。私はお邪魔するから」
「今回はお見舞いしなくても」
「それでもね」
「そうよ、来てね」
母が応えた。
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