X ーthe another storyー
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第五十二話 祝宴その十四
「よくないわ」
「小鳥の言う通りだな」
封真も素直に述べた。
「それならな」
「それ位でね」
「飲まない様にする」
「そうしてね」
「ああ、そうする」
実際にというのだった。
「俺もな」
「そうしてね、それじゃあお兄ちゃんもね」
「ケーキだな」
「食べましょう」
「ケーキを四等分してだな」
「皆でね」
今ここにいる四人でというのだ。
「食べましょう」
「それではな」
「ケーキを食べることもだ」
護鏡はまた言った。
「久しぶりだな」
「そうよね、入院していたから」
「病院の食事も悪くなかったが」
それでもというのだ。
「そうしたものはな」
「出なかったわね」
「そうだったからな」
それでというのだ。
「ケーキを食べられることもな」
「嬉しいわよね」
「それも皆でだからな」
このこともあってというのだ。
「尚更な」
「そうよね、これからはね」
「こうしてだな」
「皆で楽しめるわ」
「そうなったか、本当によかった」
鏡護は心から思って言った。
「こうなってな」
「そうよね」
「そしてずっとな」
「このままでいようね」
「幸せになったらだ」
そうなればというのだ。
「それを護ることだ、そして護りながらな」
「その幸せを」
「そうしながらだ」
それと共にというのだ。
「より幸せになることだ」
「そうすることなの」
「そうだ、幸せには際限がないからな」
「今の幸せを護りながら」
「さらにな」
「幸せになることね」
「そうだ、そうするんだ」
こう小鳥に言うのだった。
「皆でな」
「そうだな、人間も地球も今よりよくなる筈だ」
神威は鏡護のその言葉を受けて言った。
「それならな」
「今以上に幸せになるべきだな」
「俺達もな、なら小鳥」
今度は小鳥に顔を向けて彼女に言った。
「これからもな」
「ええ、二人でね」
「幸せを護ってだ」
そうしつつというのだ。
「今以上にな」
「幸せになろうね」
「是非な」
「俺もそうなる」
封真はケーキを食べつつ言ってきた。
「必ずな」
「お前もだな」
「お前達と一緒にな、ならな」
「今以上にだな」
「幸せになろう、人間も世界もな」
神威の言う通りにというのだ。
「きっとだ」
「今よりよくなるな」
「そうなる筈だしな」
「人間は馬鹿じゃない」
神威は言い切った。
「愚かな一面は確かにあるが」
「それ以上にな」
「高潔で聡明でだ」
「前に進もうとするな」
「戦いでわかったな」
「俺もな」
「そして地球は強い」
地の龍が護るこの星もというのだ。
「幾らでも回復しさらにだ」
「奇麗になっていくな」
「自分でな、だからな」
「今以上にな」
「このことも戦いでわかった」
その中でというのだ。
「完全にな」
「人間も地球もよくなる」
「そして俺達もだ」
「今以上に幸せになれる」
「そしてなるんだ」
「そうしていこう」
こうした話もしながらだ。
四人で鏡護の退院を祝った、彼が戻ったその光景はかつてのものよりも遥かに素晴らしかった。だが希望はその彼等をさらに幸せにせんとしていたのだった。
第五十二話 完
2023・11・15
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