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新オズの臆病ライオン

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第十幕その九

「水ライオンだね」
「外の世界じゃいるかいないかわからない」
「未確認動物になってる」
「あのライオンもいるのね」
「この自然公園ではそうなのね」
「オズの国だからね」
 かかしが五人に答えました。
「外の世界ではいるかどうかわからない生きものもいるよ」
「ここはお伽の国だからね」 
 それでと言う樵でした。
「そうした生きものも普通にいるよ」
「そうですね」
「外の世界とは違いますから」
「色々な生きものがいて」
「その中にはですね」
「ああした生きものもいますね」
「僕あのライオンさんとお話したことあるよ」
 ボタンがこう言ってきました。
「今観ているね」
「へえ、そうなんだ」
「あの水ライオンさんとお話したことあるんだ」
「それは面白いね」
「奇遇っていうか」
「不思議な縁ね」
「ある時起きたらあそこにいて」
 水ライオンが今いる水辺を指差して言います。
「それであの水ライオンさんに起こされたんだ」
「成程ね」
「それは面白いね」
「起きたら自然公園にいて」
「水ライオンさんに起こされるって」
「オズの国ならではだね」
「それで少しお話してその日はこの公園で遊んで」
 そうしてというのです。
「その辺りにあるお弁当の木から実を取ってご飯を食べていたんだ」
「ああ、お弁当の木もあるね」
 臆病ライオンは言われてその木に気付きました。
「それで色々実ってるよ」
「あの木からサンドイッチやハンバーガーを食べてミルクの泉でミルクを飲んで」 
 そうもしてというのです。
「食べて飲みながらね」
「遊んでいたんだ」
「ここの生きものの皆とね」
 ボタンはここで手を振りました、するとそれに応えて自然公園の生きものの皆も右や左の前足を振ってきました。
「そうしてね。一週間位そうして」
「それでだね」
「起きたら今度は狐の国にいたんだ」
「そうだったんだね」
「いや、ここにいてもね」
 ボタンは臆病ライオンにお話しました。
「楽しいよ」
「そうなんだね」
「うん、それでね」 
 さらにお話するボタンでした。
「またここに来たんだね」
「というかそれ忘れていたのかな」
「今思い出したんだ」
 そうだったというのです。
「何しろ前にここに来たのって三十年前で色々とね」
「巡ってきたからだね」
「だからなんだ」
 それでというのです。
「僕はね」
「忘れていたんだね」
「そうだったんだ、けれど思い出したら」
 そうしたらとです、ボタンは臆病ライオンににこりと笑ってお話しました。 
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