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思い出した初志

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第一章

                思い出した初志
 長谷川佳織はホテルマンである。一五五程の背できりっとした眉と目鼻立ちで唇もそうした感じである。黒髪をいつも後ろで束ねていて色白でスタイルがいい。
 その彼女だが最近どうにもだった。
「やる気ない?」
「何かね」
 同期の水守唯、童顔できらきらした黒目がちの目で黒髪をロングにした一五〇位の背の均整の取れたスタイルの彼女に昼食の時に聞かれて答えた。
「最近言われたことをやってたら」
「いいって思ってるの」
「そんな感じになってるわ」
 自分から言うのだった、一緒に昼食のカレーを食べつつ。
「失敗しないでそつなくね」
「やっていったら」
「それでね」
「いいって思ってるの」
「最近ね。お仕事終わっても」
 そうしてもというのだ。
「ただお風呂入ってご飯食べてゲームしてね」
「終わり?」
「寝てね」
「そうなの」
「ただ失敗しないでトラブルもなく」
「それでいいってなの」
「思ってるわ」
 こう答えたのだった。
「食べるもの適当だし」
「カレーも」
「別に何でもいい感じで」
 食べられればというのだ。
「それなりに美味しくて栄養あったら」
「何でもいいの」
「そんな感じよ、最近」
「張り合いない?マンネリ?」
 唯はカレーを食べつつ言った。
「それって」
「かもね。大学出て今の会社に就職して」
「最初は凄い頑張って積極的じゃなかった?」
「それから三年、そうなってね」
 それだけ働いてというのだ。
「最近は生きる為のお金を稼ぐ為にね」
「働いてるのね」
「そんな感じよ」 
 こう言ってだった。
 昼食の後もただ仕事をしている感じだった、営業スマイルは忘れないがただのそれでしかなかった。 
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