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神々の塔

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第五十二話 名前その七

「蒙古斑やが」
「子供のお尻にあるあれやね」
「青い痣な」
「アジア系の子にある」
「あれがあるかないかも」
「混血がわかるっていうね」
 綾乃はシェリルにも応えた。
「そやね」
「そう聞いたけどな」
「あればアイヌ系の血が入ってる」 
 リーがまた言った。
「そう言われてるな」
「そうやね」
「日本人は多くが入ってるな」
「みたいやね、お風呂屋さん行っても」
 綾乃はその時のことから話した。
「小さな子のお尻には大抵」
「蒙古斑があるな」
「ない子おったやろか」
 むしろ逆にだ、綾乃は思った。
「実際のところ」
「そこまでちゃうな」
「それそれを見ても」
「日本人は混血してるわ」
「そやね」
「それでまつろわぬ民もな」 
 そう呼ばれた者達もというのだ。
「戦って降して」
「それからはやね」
「滅ぼさずに」
「朝廷の民に入ってるね」
「そうなってるな、それで鬼や土蜘蛛は」 
 こうした妖怪達はというと。
「やはりな」
「山の民の人等がやね」
「いてはったな」
「それでそう呼ばれてたんやね」
「そやろな」
 こう綾乃に話した。
「山におるし」
「そやね」
「まさにあの人等や」
「それで朝廷と対立してたんやね」
「ああ、ただ鬼は」 
 リーは彼等のことを特に話した。
「流れ着いた西の人等もや」
「おったね」
「ペルシャとかな」
「それで人の生き血飲んでたっていうのも」
「自分等で作った赤ワインやと言われてるな」
「鬼葡萄好きっていうし」
 鬼にはこうした話もあるのだ。
「そう考えていったら」
「おそらくな」
「鬼はそっちの人も入ってたね」
「外見もそのままやしな」
 鬼のそれはというのだ。
「考えてみたら」
「そやね、ほんまね」
「古来からな」
「そうした人等がおって」
「鬼と思われたんやろな」
「山の民の人等と」
 彼等に加えてというのだ。
「一緒に」
「鬼やったんや」
「鬼はまつろわぬ民っていうのは」
「間違いないやろな」
「それでそこに山の民の人等も入ってた」
 綾乃は考える顔で述べた。 
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