神々の塔
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第五十二話 名前その二
「そうした話はな」
「興味あるんやね」
「ああ、ただな」
芥川はここでこうも言った。
「僕山の民についてはな」
「詳しくないんやね」
「まだな」
「何でも柳田国男さんの本に詳しいらしいで」
民俗学の創始者であるこの人物のというのだ。
「そうみたいやで」
「ああ、遠野物語の」
「あの人の」
「妖怪で有名な人やな」
「そやね」
「あの人の本は読んだことがあるけどな」
今度はリーが言ってきた。
「そういえばや」
「その人等の話があったか」
「読んだわ」
こう芥川に話した。
「学園の総合図書館にもあるからな」
「そこで読めばええか」
「普通科の図書館にもあるやろ」
そちらにもというのだ。
「あの人の全集や」
「そうなんか」
「ああ、しかし自分山の民については詳しくなかったか」
「実はな」
芥川もそれはと答えた。
「そうや」
「そうなんやな」
「まだ勉強はじめたばかりでな」
「これからやな」
「忍者の歴史を調べているうちにな」
この世界の自分の職業のそれをというのだ。
「その中でな」
「知ったじゃ」
「ああ」
そうだったというのだ。
「僕もな」
「まだ知ったばかりか」
「そや、これからやな」
「起きた世界でもまだいてはるやろ」
リーは言ってきた。
「あの人等は」
「いや、もういてはらへんやろ」
芥川は今もいることは否定した。
「あの人等は」
「戦争中の政策でか」
「戸籍に組み入れて」
山の民と呼ばれる人達をというのだ。
「それであの人等も山から出て」
「定住する様になったな」
「平地にな、それでな」
「今はやな」
「いてはらへんやろ」
「それがや」
リーは真面目な顔で話した。
「どうやらな」
「まだいてはるか」
「そうみたいやな」
こう芥川に話すのだった。
「僅かにしてもな」
「そうなんか」
「日本のとある場所でな」
「暮らしてはるか」
「そうみたいや」
「そうなんか」
「私ももうな」
リーもというのだ。
「いてはらへんとな」
「思ってたか」
「そやった、けど話によるとな」
これがというのだ。
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