神々の塔

「なぞったんやろか」
「芥川さんの一生をな」
「そやったんやろか」
「そうかもな」
　芥川も否定しなかった。
「あの人は」
「そうも思えるね」
「どうもな」
　綾乃に考える顔で答えた。
「そんな気がするわ」
「そう言われるとそうかも知れんね」
「あの人はな。それで芥川さんも太宰さんもな」
「神霊さんになってるね」
「この世界やとな」
「そやね」
「そやからやがてな」
　この塔を進んでいけばというのだ。
「会えるで」
「そやね、ほな」
「このまま進んでいこうな」
「上に」
　自然と上を向いて話していた、そうした話をしつつ遂に神霊達が待っている階に着いた。すると森蘭丸が言ってきた。
「これから暫くは当家をはじめとしまして」
「織田家の方々とですね」
「武田家、上杉家、徳川家他のお家からもです」
「神霊さん達が出ますね」
「そうなります」
　こう綾乃に話した。
「そのことお見知り置きを」
「わかりました」
「ただ上様はです」
　織田信長、彼はというと。
「あと少しです」
「上の階になりますか」
「はい、十階ごとに我々がお待ちしていますが」
　神霊達がというのだ。
「全ての家臣が出た後で」
「ご当主の方々がですか」
「出られます」　
　そうなるというのだ。
「ですからまだです」
「上にですね」
「お進み下さい」
　こう言うのだった。
「宜しいでしょうか」
「わかりました、親切ですね」
「私共は貴方達と戦います」
　これは事実だとだ、蘭丸は綾乃に答えた。
「しかしです」
「それでもですか」
「敵ではありません」　
　このことは否定するのだった。
「むしろ応援しています」
「この世界を救うことを」
「そうなのです、戦は試練です」
「この塔を踏破する中の」
「試練があってこそ」
　蘭丸は確かな声で答えた。
「人は成長しますね」
「はい、学んでそして」
「乗り越えるべきものごとを乗り越えて」
「そうなります」
「それ故にこの塔ではです」
「神霊さん達は人と戦うんですね」
「そうします」
　こう言うのだった。
「それも全力で」
「そういうことですね」
「我々を倒しそこで経験を積み」
「さらに強くなって」
「レベルが上がり」
　そうなってというのだ。
「力を得てさらにです」
「塔を踏破してですね」
「大きな力を得て欲しいのです」
「そしてその力で」
「世界を救って下さい、既にです」
　蘭丸はさらに話した。