X ーthe another storyー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五十話 死守その十七
「僕の傷も完治しまして」
「戦える様になっていたわね」
「そうだったんですが」
「もう姉さんを何とかしないと」
「いけないですね」
「止められなくなっているから」
本来の丁がというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「何とかね」
今というのだ。
「止めたいわ」
「そうですか」
「姉さんが飲み込まれてしまうから」
「ならです」
封真がここで言った。
「今戦えるのは俺だけですから」
「行ってくれるのね」
「神威と決着をつけて」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「姉さんもなのね」
「何とかしてきます」
「だからなのね」
「剣ですね」
「あれを使う時も来たわ」
庚も答えた。
「いよいよね」
「そうですか」
「だからね」
それ故にというのだ。
「これからね」
「目覚めたなら」
「お願いするわ」
「そうしてきます」
「頼んだわ、姉さんを」
庚の言葉は切実なものだった。
「騙していて言えた義理ではないけれど」
「騙す?隠していただけですよ」
封真は庚の今の言葉に笑って返した。
「そして隠していることは誰でもあります」
「人間でも」
「そうです、ですから」
それ故にというのだ。
「このことはです」
「気にしなくていいの」
「はい、今お話してくれましたし」
「仲間だからな」
草薙も優しい声で話した。
「だったらいいさ、むしろ今話してくれてな」
「よかったですか」
「ああ、封真がやってくれるさ」
「そうですね、封真さんがいます」
哪吒も言った。
「それならおお願いしましょう」
「そうしていいのね」
「仲間ですから」
「今までこの顔触れで楽しくやってきたわ」
颯姫も笑って話す。
「それならね」
「いいのね」
「友達だから」
だからだというのだ。
「いいわ」
「そう言ってくれるのね」
「私達を害するつもりはなかったわね」
「なかったわ」
庚は正直に答えた。
「そしてね」
「お姉さんのことを思っていて」
「そのうえでだったことはね」
「言えるわね」
「はっきりとね」
「ならいいわ」
颯姫はあらためて答えた。
ページ上へ戻る