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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その四十

「そうでしたか」
「はい」
「ですか」 
 ドトールは実際そう返した。
「わかりました」
「はい、わしはです」
「ロマニですか」
「混血していますが」
 それでもというのだ。
「ルーツはです」
「そうですか」
「ですが連合ではですか」
「それが何か」
 ドトールは何でもないという口調で述べた。
「それがです」
「お客様のお答えですね」
「連合市民ですね」
「はい」
「法的に問題か」 
 果たしてというのだ。
「それが」
「一体、ですな」
「ナチスか」
 果たしてというのだ。
「我々は」
「連合は、ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そう考えますと」
「このことは」
「特にです」
 ドトールは答えた。
「連合ではです」
「問題はない」
「私は思います」
 ドトールは私人、店の客として答えた。
「全く」
「そうですね」
「何が問題か」 
 それはというと。
「私にはです」
「わからないですか」
「連合市民なら」
 それならというのだ。
「もうです」
「問題ないと」
「そうです」
 まさにというのだ。
「それで、です」
「いいのですね」
「私としては」 
 こう老婆に話した。
「何一つとして」
「問題なく」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「幸せにです」
「過ごしていいですか」
「ロマニは人間ですね」
 ドトールは問うた。
「左様ですね」
「そのことは」
「間違いないですね」
「人間です」
 だからだというのだ。
「ですから」
「そこは、ですね」
「どうしても」
 譲れないものがあるというのだ。
「誇りがあり」
「そしてですね」
「まさに」
 さらにというのだ。
「尊厳があります」
「それ故に」
「若しエウロパなら」
 この国にいればというのだ。
「どうしても」
「左様ですね」
「そこはです」
 まさにというのだ。
「譲れず」
「そしてですね」
「誇りもです」
 これもというのだ。
「連合ではです」
「あると」
「はい、連合ではロマニといっても」
「かつてのことですね」
「エウロパでは酷い迫害を受けましたが」 
 ナチスは虐殺さえしていた、そしてルーマニアでは長い間ロマニなぞいないと主張してあらゆる権利を認めていなかった。 
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