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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その二十六

「必ずです」
「前兆がありますね」
「動物を虐待したり虐殺したり」
「酷いいじめを行ったり」
「そうした行動を示すなら」
 それならというのだ。
「それがです」
「前兆である可能性がですね」
「あります」
 こうアラガルに話した。
「そしてその可能性のうちに」
「発見して治療する」
「そうすれば」
 その場合はというのだ。
「事前に防げる」
「そうなりますね」
「実際にです」
「今はですね」
「そうした前兆が確認されて」
 多くは成長期にだ、ただ単に罪悪感がまだ備わっていない子供が虫の足をもぐ様な場合かも知れないがそこを見極める精神鑑定の技術もこの時代では発達しているのだ。特に連合においてはそうなっている。
「そうしてです」
「多くはですね」
「治療されています」
「有り難いことに」
「しかしです」
 ドトールはここで強い顔になって話した。
「それは完全ではなく」
「どうしても見落としがありますね」
「残念ですが」
 こう前置きしてさらに話した。
「人間のすることです」
「完全ではないですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「人間は完全ではない」
「どれだけ進歩しても」
「神ではありません」
「それは確かに」
 アラガルもそうだと頷いた。
「人間はです」
「神ではないですね」
「死んで神になるという宗教もありますが」
「それでもですね」
「生きているうちは人間です」
「そして人間ならば」
「完全ではないです」
 どうしてもというのだ。
「これは絶対のことです」
「この世に絶対のことは少ないですが」
「それは絶対ですね」
「人はその生では神ではなく」 
 ドトールは言った。
「絶対ではない」
「その絶対の存在でないからこそ」
「見落としがあり」
 そしてというのだ。
「その結果です」
「僅かな可能性でも」
「快楽殺人者が出て」
 そうしてというのだ。
「その結果です」
「犠牲者も出る」
「それを最低限にです」
「長官は抑えられる」
「そうします」
 完全にというのだ。
「何があっても」
「そうですか」
「私としては」 
 何としてもというのだ。 
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