| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

X ーthe another storyー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十八話 見舞その十一

「俺は幸せ者だな、だからな」
「だから?」
「皆滅んで欲しくないな」
 優しい表情で話した。
「世界も人間も」
「地の龍でもですか」
「そう思うさ、多分封真もな」
「戦える地の龍の人の最後のお一人ですね」
「あいつもそう思ってるさ」
 彼もというのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「ああ、きっと悪いことにはならないさ」
「人間は滅ばないですか」
「それで地球もな」
 地の龍が護るべきこの星もというのだ。
「きっとな」
「護られますか」
「その筈だよ、地球が傷付けられても表面だけだろ」
「地球の」
「思えば些細だよ、それで人間を滅ぼしたら」 
 地の龍達の目的通りにというのだ。
「他の生きものも巻き添え喰らうよな」
「沢山死にますね」
「それに人間だってな」 
「地球の一部ですね」
「地球と敵対するか」
 人間はというのだ。
「やっぱり違うだろ」
「だからですね」
「ああ、考えるとな」
「人間を滅ぼしてもですね」
「地球の表面だけのことでな」
「多くの命を巻き添えにして」
「それで地球自体は人間が何してもな」
 幾ら傷付けてもというのだ。
「結局は表面だけでな」
「地球の殆どはですね」
「無事だよ、人間なんてちっぽけでな」
「地球の表面だけのことですか」
「そうじゃないか?俺達は別にな」
「人間を滅ぼすことはないですか」
「そうも思うよ、そしてな」 
 草薙は護刃にさらに話した。
「俺達はそうする運命で戦っても」
「人間も地球もですね」
「実はな」
「無事ですね」
「だったら星史郎さん以外生きている今の状況で」
「いいですか」
「あの人はどうしても死にたかった」
 今そのことがよくわかった、彼のことを考えていきそうしてこの結論に至ったのだ。草薙は悲しい顔になって述べた。
「だから死んだ、けれどな」
「他の人はですね」
「生きているんだ、だったらな」 
「このままですね」
「皆生きてな」
「人間も地球もですね」
「このままいるべきじゃないか」
 こう言うのだった。
「そうも思えてきたよ、俺は」
「そうですか」
「間違ってるか?」
 このことは苦笑いを浮かべて話した。
「俺は」
「地の龍としてですか」
「ああ、人間を滅ぼして地球を護るんだからな」
「間違っていないと思います」
 護刃は微笑んで答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧