神々の塔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十八話 仙人達その十
「このことは大きい」
「河豚を食べるにあたって」
「復活できても死ぬのは痛いし怖い」
「生きものが本能的に持っている恐怖ですね」
「死への恐怖はもっとも克服し難い恐怖の一つだ」
曹国舅はシェリルに述べた。
「それ故に復活出来てもな」
「死ぬと思うと」
「やはり避ける、そもそも河豚にあたると苦しんで死ぬ」
舌がもつれ呼吸困難に陥り立っていられなくなって苦しみながら死ぬ、それが河豚の毒であるテトロドキシンの症状なのだ。
「だからな」
「避けたいですね」
「それこそ日本でないとな」
この世界でもというのだ。
「ない」
「河豚を食べることは」
「そうそうな、だが下の宿屋の包は見事な腕だ」
包とは料理人の中国での呼び名である。
「安心してだ」
「食べてええですか」
「うむ、そして河豚を堪能したならな」
それならというのだ。
「あらためてだ」
「上にですね」
「進むのだ」
「ほなそうさせてもらいます」
「まだまだ先は長いが」
「それでもですね」
「一階一階でも確実に進んでいけばな」
その様にすればというのだ。
「最後は必ずだ」
「踏破出来ますね」
「諦めないことだ」
決してというのだ。
「いいな」
「それが大事ですね」
「この塔最大の試練はわかるな」
曹国舅は一向に問うた。
「そなた達は」
「答えてええですか?」
綾乃がリーダーとして右手を挙げて申し出た。
「その質問に」
「返答が欲しくて聞いた」
「そういうことですね」
「そうだ、では聞かせてくれるか」
「塔の高さです」
綾乃は答えた。
「何万階もある」
「そうだ、それだけ高いとな」
「ほんま滅茶苦茶凄い時間がかかります」
「踏破にな、気の遠くなるまでだ」
そう言っていいまでというのだ。
「時間がかかる」
「そうですね」
「その距離をだ」
「諦めへんで踏破する」
「諦めない、それこそがだ」
「最大の試練ですね」
「終わりが途方もないと諦める」
人はそうするというのだ。
「それが道半ばでもな」
「諦めない」
「それこそがだ」
「大事ですね」
「そうだ、進んでいけば」
「この塔にしても」
「一階一階登っていくとだ」
そうすると、というのだ。
「必ずだ」
「踏破出来ますね」
「そうなる」
まさにというのだ。
ページ上へ戻る