人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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82話 復讐のLilith
前書き
○81話
☆仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマー サンシャインフォーム
※通常のムテキゲーマー(大幅調整後)と同じ。
6:00〜18:00の間で変身可能な太陽のエネルギーを持つ形態。変身手順と本質の力はラースフォームと同じではあるが、あちらとは違ってよりパワー重視のフォーム。
太陽のような力を自由自在に操ることができ、相手はダメージを与えるどころか近づくことすら困難かつ危険である。
太陽の活動が活発になるほど、時間経過ごとのスペック上昇率が大幅アップする。ラースフォームのような、通常状態におけるスペック引き継ぎも同様である。
例 6:00で体感時間1秒ごとにスペックの現在値の10乗
↓
10:00で体感時間1秒ごとにスペックの現在値の100乗
↓
12:00で体感時間1秒ごとにスペックの現在値1000乗
これらは一例に過ぎず、太陽の力が強い夏であればより強力となる。
「ふぅ……なかなか旨いな。」
神社の控え室に泊まらせてもらって早くも2日ほど経つ。
16世紀の食べ物は口に合うか不安であった(ゲテモノでない限り食える)が、非常に淡白で旨いものであったことには驚かされる。しかも健康的だ———コンビニ弁当ばっか食ってたらそれこそ不健康であることを自覚させられる。
感慨に浸っていると、神社の管理人の坊さん…花庵さんが入ってくる。
何気に触れてこなかったが、この人は地元の人から国木田と呼ばれていたな————ということは言わずもがな、花丸のご先祖さまってことか。
「おはようさん。」
「おはようございます伊口殿。さっそくですが、客人が来ております。」
「客人か……通してくれ。」
「では……」
そう言って、花庵さんは居間の戸をするっと開ける————すると40代目クウガと赤紫色の髪を持つ、明らかに外国からやってきたであろう男が入ってくる。
「入るぞ、エグゼイド。」
「はじめましてミスター伊口!オアイできてコウエイデス!」
「お前は…?」
「この人はプロフェッサーブルーム。僕と共にイタリア出身の世界中を旅する音楽家であり、歴史学者だ。」
「NON-NON!その名前はもう捨てた……今の私はプロフェッサー桜内デス!」
桜内———てことは、梨子のご先祖様ってわけか……!!
しかし先祖が外国人だったとは……まぁ日本人はアジアの中でもDNA構造が特異故に、先祖がそうであってもおかしくないか—————
「僕はこの前、君は自由のために戦う神であり…全能なる飛来者であると言ったね?」
「あぁ……でもいまいち分からない。頭ではどんなにわかっていても。」
「それはトウゼン!言葉という音がアッテこその世界デスよ!」
「———そういうもんなのか?」
コイツ……どっちかというと小原家の関係者だろ———
「ワッターシは音楽こそが人間の根源…そう考えているのデス!」
「はぁ…?」
「プロフェッサーの言うことはともかく——クウガとして世界中を放浪する中で、1つ分かったことがある……それは世界中の神話は全て同一のものであり、そしてそれを《《バラバラにした悪魔》》がいるということだ。」
「悪魔…か。それはナムロドのことか?」
「そう……と言いたいところだが、こんな手間のかかる仕事を奴がやるとは思えない———となると、奴の母親がやった可能性が高い。」
「母親?」
「その名はリリス。夢魔の権化であり、嫉妬故に神に楽園から追放された悪魔……それがリリスだ。」
「度々出てくるが、その楽園って何なんだ?」
「さぁ…?でも僕は、全能なる神の協力を得た《《もう1柱の神》》が作り上げる自由な理想郷であると推測しているよ。」
リリスってのは旧約聖書の一節に登場する、エバの以前に創造された人間で、後に悪魔になった…この話と酷似しているな。
「だから……君こそナムロドを倒し、真に自由な世界が訪れると信じているよ。」
「右に同じくデス!」
「神とか何か知らんが……でも、ナムロドをぶっ倒して、歌い踊り助け合う世界を作ってやる。それだけは俺もやりてーことだ。千陽とも約束したしな。」
俺の言葉を聞いた2人はフッと安堵の笑顔を見せ、遂に立ち上がる。
「ならば見せてモライマショウ!君がワタシにどんなことを見せてくれるのか……楽しみにシテイマス!」
「じゃあ……また会おう。」
アルティメットの力で瞬間移動した2人。
俺は使命感に駆られて、その寝床を飛び出した。
——————※——————
俺は村人たちが避難している割と大きめの家屋へと入る。
さっそく入ってみると……そこはまるで地獄の扉を見ているよう——どこか体の一部を欠損している者、血まみれの者、骨が折れて黒く腫れている者。
そしてそれを女神のように治癒する者が1人……美しい純白の花で構成されたワンピースを着た巫女。
「千陽…!」
「才くん!来てくれたんだ…」
「おう。ところで小原と黒澤は?」
「2人とも食糧を取りに行ってる。私がみんなを治してから、みんなに食べてもらうの。」
「そうか……」
千陽が続け様に村人を治癒しようとする……しかし俺はその手を掴んで、待つように示唆する。
「俺はムテキだ。人を回復させる力……ないわけでもない。」
「?」
俺は右腕を失っている村人に星屑の治癒光線を当てる。するとみるみる村人の顔色が良好なものとなり、欠損した腕も元通りになってしまう。まさしく神の御技。
「すごい…!」
「ふぅ…すごいとはいえ、これはスタミナを消耗させるな——早く負傷者を治しちまおうぜ。」
「う、うん!」
〜〜〜〜〜
俺と千陽は負傷者の治癒を終え、食糧を持ってきた小原と黒澤と入れ替わる形で海の見える展望台へとやってくる……おそらくここは、あの内浦重須見晴台だろう。
「いいでしょ〜?お気に入りの場所なんだ。1人で考えたい時はいっつもここに来るの。」
「そんなところに俺が来ても大丈夫なのか?」
「うん……なんか、才くんにならいいかなって。」
「そうか……」
三津のあたりはかなり荒廃している————いつか、俺が守ると誓った内浦。いくら過去とはいえ、荒廃させてしまっていることに恥じてしまう。
「才くん、本当にみんなが自由に生きられる世界を作ってくれる?」
「あぁ、約束する。」
「だったら……私も手伝う。」
「手伝う?」
「アマテル様が言ってたの。『《《私たち》》は世界そのものを豊かにしてくれることを望む。その力を持つ者に手を貸し、《《契約を結べ》》。』……って。」
「力を持つ者……か。」
「だから……その…」
より近くに彼女がいることで、顔がほんのりと赤くなっているのが見てとれた。しかし、俺は彼女の力に余計不思議さを感じてならない。
どんなに神託を聴く巫女とはいえ、あのような人間離れした回復術や防御陣を作る力など持てるわけがない————と、ここで40代目クウガが話していたことを思い出した。
[彼女は、創造を司る母神の意思そのものである]
魂の転生とか神とか非科学的なことばかり言われたので整理しきれていなかったが、《《魂と精神は別》》……オカルト文献で目にしたことがある。
ということは、彼女の聞いている神託とは…つまりお告げではなく、彼女の魂そのものが持っていた《《意志》》であるってことか。
「あー!!!ほんと、お前たち《《夫婦》》を見てるとイライラするわ!!!」
「「!?!?!?」」
怒りが溢れ出した幼くもませた声が俺たち2人に響く。赤くなっていた千陽も急な声に驚きを隠せず、俺の背後へと回る。
みると、赤紫色の瞳に群青の長髪…そしてシニヨンを結んだ幼女。どう見ても幼女……俺の二分の一くらいしかない身長。
だがそんな幼い姿であっても、紅色の鋭い眼光……それが俺を警戒させる。
「お前……何者だ?」
「私は歩実……ナムロド様の秘書にして、奴隷にして…この世に産み出させて頂いた女よ♡」
「……」
「ハハハ……ちょっと何言ってるかわからない。」
「何でわからないのよ!!」
いや幼女の姿で可愛いツッコミされても、それ以前に言ったことがキモすぎてマイナスの世界から抜け出せねぇよ。
「ナムロド……あなたあのナムロドの母親だって言うの!?」
「ふん…!ナムロド様は私が産み出させて頂いた、邪悪な神様……お前に取って変わる偉大なるお方よ!!」
「はいはい、面白い面白い。」
「くっ…そんな大口、もうすぐ叩けなくなるわ!!」
「—————なんだと?」
「何でナムロド様は……今、自分の肉体から作ったアークを暴走させてると思う?」
「どういう意味なの……!?」
「小原家はあの方舟で理想郷を目指してきたのよ……まんまとこの内浦に誘導されているとは知らずにねw」
「「!!」」
確か小原家は世界中を方舟で回ってきたが、この内浦に降り立ったと聞いていたが————
「内浦の秘密か……教えてくれ、《《リリス》》。」
「リリス……?」
「ふーん。下界での名前を知ってたとはね。いいわ教えてあげる————この内浦という場所には、《《世界樹》》を完全なものにする力が眠っているのよ。」
「世界樹だと…?」
「国木田の和尚さんから聞いたことある…!あらゆる世界に生える、神聖な樹だって!」
世界樹……ユグドラシルという名でよく聞くものだ。おとぎ話ではないのか……
「世界樹はあらゆる時間軸と世界を統べる力を持つ樹…その力を手にすることができれば———全時空を思うがままに転がす力がナムロド様の手に!」
「力って……どういうことだ——!」
「世界樹の種子を成長させるには、この世界に降りてきた異世界の神器が必要……この内浦にその6つの神器が眠ってるのよ。」
「まさか……」
千陽の顔から血の気がひいてゆくと共に、歩実と名乗る彼女はニヤニヤと笑顔が止まらない。
「そ。あなたが神社で見てきた神器を集めるため、ナムロド様はこの街を手中に収めようとしてるのよ———最後の2つを集めるまで…いや、もう最後の1つだったわね。」
「なんだと…!?」
「お前が泊まってた神社にも神器はあったのよ———お前がここに居る……もう奪われるのは明白よ♪」
「そんな———酷いよ。」
「?」
ボソッと発した一言。千陽の自由を脅かされることへの悲しみと怒りの声だ————この雰囲気は千歌がシリアスな展開の際に発する雰囲気によく似ている気がする。
「内浦の人たちは関係ないじゃん!どうしてみんなの幸せを奪うの!?そんなの……おかしいよ!!」
「うるさい!全てはそこにいる伊口才…お前のせいだ!!」
「えぇ…ここで俺に振るのか。」
「お前が…お前が人間ばかり可愛がるせいだ!!お前が私を楽園から追い出したからだ!———全部全部!!お前のせいだ!!!」
俺に対する理解不能な罵詈雑言を言い切った歩実にしばらく……万人が恐怖を感じる静寂が訪れる。この時間はまさにポーズよりも恐ろしい、神の時間だと言い切れる。
「————気は済んだか?」
「え?」
俺は彼女の群青色の頭をガシッと鷲掴みにして、俺の顔がしっかりと見えるように持ってくる。
「貴様の嫉妬なんか知らねぇんだよ——貴様1人のために、何百人という人の命を奪っていいわけがない。俺を直接殺しに来ればいいものを……俺に挑む勇気のない奴が復讐なんて考えるんじゃねぇよ。」
「くっ……うるさい!うるさい!お前のそういうところが本当に大嫌い!!自由を奪われるだけで、その敵を本気で虐殺しようとしてくるエゴイストめ!!」
「なんとでも言え……あと。」
「?」
「貴様は今回の来襲の目的を喋っちまった。もう、お前らの野望が達成することは————ない。」
「ふん……!そんなこと無いわ———目的は必ず達成するわ…たとえどんな邪魔が入ろうともね!!」
歩実はホログラムのように消えていった。
——————現代——————
「そうか…了解。先生に伝えとく。」
怪我もすっかり治り、魁からAqoursのみんなが帰宅の旨の連絡を受けた虎太郎。それを竜介へと伝えるつもりだ。
クウガの変身者は修復機能が半端ない。致命傷……と言っても、一瞬でクウガの細胞を再起不能にすることでようやく殺せる————これは相当な難度である。
ダークキバが超防御なら、クウガは超回復といったところか。
ところで御目当ての竜介先生は伊口邸のだだっ広い庭で、半裸姿の腕立て伏せをしている。
「竜介先生。」
「どうした?」
「魁は無事にあいつらを送り届けたそうだ。」
「そうか…!心配するまでもなかったか。」
安堵とも期待とも取れる表情で、竜介はあぐらをかいて座る。そして目を瞑って今日のことを月の下で、想像する……やがてパッと目を開く。
「ナムロド……あんな奴が人間の敵になったと思うと——勝てる気がしないなぁ………」
「なーに言ってんだ。それでも俺たちはやらなきゃいけねぇ……そうだろ?」
「あぁ。だから虎太郎。」
「?」
「俺と勝負してくれ。」
「………本気だな?」
「おう!」
「いいだろう……日月の剣も使え。そっちの方が面白い。」
【ボトルバーン!】
【クローズマグマ!】
【Are you ready?】
「変身!」
「超変身。」
マグマと漆黒がぶつかり合い、互いの変身を完了させる。
【光剛剣日光!】【闇黒剣月影!】
クローズマグマは日月の剣を二刀流で、戦闘の構えをとる。対するアルティメットクウガはとライジングタイタンソードを2本生成し、同じように構える。
「ウォォォォ!!」
「……」
先制の光剛剣がアルティメットクウガを襲う。かろうじてライジングタイタンソードで受け止め、2本目を上から振り下ろし、見事クリーンヒットする。
クローズマグマは溶岩…つまり電気には耐性はある。しかしただで電撃の刃を喰らえるわけではなく、一瞬だけ硬直してしまう。
アルティメットクウガはその隙を見逃さず、クローズの腹部を剣先で突くが、咄嗟の判断でクローズは腹の部分を硬質化しそれを防ぐ。
「あまり見ない機能だな……クローズマグマの能力は知り尽くしたと思ってたけど。」
「俺もこんな力あるとか覚えてねぇ。でも頭より体が先に動いちまったんだ!」
「なるほど……」
先に体が動く……竜介の短所であり長所であるモノ。虎太郎はむしろその逆、常に考え行動する。それ故に瞬時の判断が求められるハイスピードバトルは苦手……
しかし、Aqours☆HEROESの中で1番の頭でっかちは虎太郎ではない。その役割は今は生死不明である稜である。彼はかなり真面目なのに対して、虎太郎は飄々としたクールな男。
逆に身体が勝手に動くのは竜介以外には魁が当てはまる。ただ魁は闇雲に気合のみの竜助とは違い、適切な目的を持っての自然に体を任せている形である————このように、Aqours☆HEROESはかなり多様な人材に恵まれている……この中で1番バランスが良いのは魁だ。
だがそんな魁ですら、才は別次元にいると言わしめる。彼の自然に身を任せると同時に頭脳戦を繰り広げられる…………頭で思いついた有用だが無謀な作戦を、意図も簡単にこなしてしまう才能。もはや次元という言葉で片付けて良いものか、神の領域と言っても過言ではないだろう。
だからこそ鍛錬する必要がある。
【最高発光!】
日の剣が太陽の如く輝きを月下にしろしめす。しかしクウガはそれを読んで、アルティメットの物質操作によって反射壁を形成し、放たれた熱と光はそのままクローズへと跳ね返る。だが跳ね返った光線はクローズが月の剣によって闇の空間へと至る————
クウガはそれを待っていた。
跳ね返った光線はただの引き付けに過ぎず、そのガラ空きの背後に回られ、クローズは背中に電撃の一太刀をもらう。その際手に持っていた闇黒剣月影を落としてしまう。その月の剣を使用しないほどアルティメットクウガは甘くない。
「その剣を使うって言い出したのはこのためかよ……」
「まぁね。日月の剣を両方使えるのはあんただけ……けど片方なら俺も使えるからな。」
【月影居合!読後一閃!】
月の剣が放った闇の斬撃とライジングタイタンソードの雷の斬撃がクローズを襲う。クローズは日の剣を地面に刺して使用をやめ、マグマナックルを手に持つ。そしてドラゴンフルボトルをセットする。
【ボルケニックナックル! アチャー!】
極熱のパンチと闇雷の斬撃が火花を散らす……そしてその攻撃は相殺される。煙幕がたったところをクローズはマグマナックルを手にして、襲い来る。不意を突かれたクウガは左手に持っていたタイタンソードを振り翳すと、マグマパンチの圧倒的熱量に破壊されてしまう。
テレポートで距離をおいたアルティメットクウガ………しかし流れは思いもよらぬ方向へと向かう。
そう、闇黒剣と光剛剣が共鳴する。
「ぐっ!」
「これは……」
クローズの背後にあった日の剣は正面のクローズを斬って、月の剣を手にしているクウガの手に渡ってしまう。クウガは一瞬理解できなかったが、深く考えるのはやめてそれを使って戦いを終わらせようと動く。
「日月の剣……そしてこれが、超古代の力だ。」
日月の剣にクウガの究極のパワーオーラが流れ込む。そして二刀はクウガを持ち主と認め、その真の力を発揮する!
「はっ!」
虹色と闇の斬撃がクローズの胸部装甲へとクリーンヒット!
するとクローズの変身が突如として解除される………これは変身ガジェットに対する月の剣の封印機能が光剛剣によって高められた能力だ。
「クソっ……!」
「俺の……勝ちだ。」
「結局使えるじゃねぇかよ、その剣。」
「クウガに潜むのは闇の力だけじゃなく、光の力も根本にあるってことか……」
「まさかお前に負けるとはな……腕上げたな虎太郎!」
「いや、負けたのはアンタの心に迷いがあったからさ、竜介先生。」
「——————」
「アンタはナムロドから街を守れるかどうか悩んでる……でも、そんなの分からなくていいんじゃないか?」
「虎太郎………」
「俺は怖い未来を変える……考えるのはそれだけでいいんだ。この街……いや、この世界が潰れる時は俺たちは必ず死んでなきゃいけない———まっ、そんな日は才がおる限り絶対来ないだろうけど。」
「そうだな……よし!そうと決まればナムロドに勝つトレーニングだ!!」
「戻ったな……」
虎太郎はスッと笑顔を見せた。
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