X ーthe another storyー
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第四十七話 慕情その十一
「またな」
「お会いしましょう」
「そして仲良くしたいですね」
「敵味方じゃなくて」
「そうしたいな」
「ええ、本当に」
哪吒も頷いた、そしてだった。
二人で都庁に戻った、草薙はそれから自衛隊病院に向かった。庚は彼を見送ってから哪吒に対して言った。
「すぐに貴方のお祖父さんに連絡するわ」
「そうしてですか」
「ええ、すぐにね」
今はというのだ。
「手当てを受けなさい」
「入院ですか」
「その怪我ならそうね」
庚も否定しなかった。
「そうしてもらうわ」
「わかりました、じゃあ暫くは」
「戦えないわ」
「そうなりますね」
「仕方ないわ、ゆっくりと休んで」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「傷の回復に専念することですね」
「そうしなさい、いいわね」
「すいません」
哪吒は傷口を抑えて申し訳なさそうに言った。
「これで戦えるのは封真さんだけになりました」
「そんなことはいい、生きているんだ」
封真はその哪吒にこう返した。
「だったらな」
「それで、ですか」
「充分だ、後は任せてくれ」
確かな穏やかな声で告げた。
「後はな」
「封真さんがですか」
「やらせてもらう」
「天の龍は二人ですが」
「神威とだな」
「嵐さんです」
「その二人共何とかする」
封真は淀みなく答えた。
「だからな」
「僕は、ですか」
「傷の回復に専念してくれ」
彼もこう言った。
「いいな」
「わかりました、それじゃあ」
「お祖父さんのところに戻ってな」
「入院ですね」
「そうしてくれ、いいな」
「わかりました」
哪吒も頷いた、そうしてだった。
庚が連絡をして都庁に来た祖父とも会った、彼は孫が命に別状はないことに安堵したがそれでもだった。
彼の怪我を見てだ、深刻な顔で言った。
「大変な怪我だな」
「入院しなさいと言われています」
「それは当然だ」
一も二もないという返事だった。
「今からすぐにだ」
「入院してですね」
「手当てを受けるんだ、いいな」
「まだ戦いがあるのに」
「話は聞いている、お前はよくやった」
孫に優しい声をかけた。
「だからな」
「気にすることはないですか」
「後のことは他の人に任せるんだ」
こうも言うのだった。
「いいな」
「そうしてですね」
「今は傷の治療に専念するんだ」
こう言うのだった。
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