仮面ライダーキバ 目に見えないつながり
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第十七章
「じゃあ正夫、ここは派手にやるか!」
「うん、それじゃあね」
「ガブっと!」
「変身!」
最初に変身したのは彼だった。腰に鎖が出て来たと思うとそれがベルトになる。キバットはベルトにセットされた。そうして顔にファンガイアの模様が浮き出てそのうえでキバに変身するのだった。
「この時代のファンガイアも手強いから注意してね」
「うん」
「渡、行くぞ」
「変身しなさい」
「サガーク」
続いて登と名護も変身に入った。登がサガークを呼ぶとすぐに腹にベルトがセットされた。そこに顔の前で掲げた剣の柄を差し入れると言った。
「変身」
するとその全身に鏡が割れたような光が走りそれが消えるとサガになったのだった。
「変身」
名護はイクサのナックルを出すとそれを右手に持ち胸の前で左手で打ち合わせた。そのうえでナックルを持った右手を横に思いきり掲げそれから腹のところにあるベルトにセットさせた。それによりイクサになったのだった。
最後は紅だけだった。既に次狼達は本来の姿に戻っている。紅の顔のすぐ横にキバット三世がスタンバイしていた。
「渡、それじゃあな」
「うん」
紅はキバットの言葉に声だけで頷いた。そのうえで左手を前に出す。
するとキバットはその左手に噛み付いたのだった。
「そ~~~~れ、キバッと」
「変身」
紅の腰に鎖が表れそれがベルトになる。キバットはそこにセットされそのうえでキバになった。
四人のライダーと三人の魔物達が姿を現わした。しかし既にファンガイア達はビショップと糸矢を中心として彼等を完全に取り囲んでいた。
そしてその中で。ビショップは彼等に対して告げてきた。
「今からはじまるのだ」
「はじまる。何がだ」
「我等の時代がだ」
サガに相変わらず憎しみに満ちた目を向けていた。その瞳孔は小さくしかも狂気まで浮かび上がっていた。異様な形相になっていた。
「来るのだ。今こそな」
「ネオファンガイアの時代がか」
「人間なぞ。我等の餌に過ぎない」
かつての登と同じ言葉だった。
「我等がこの地球を支配する時代がだ」
「それは違う」
紅が彼の言葉を否定した。
「人間もファンガイアも同じなんだ」
「同じだと。戯言を」
「嘘じゃない。その証拠に僕がいる」
彼はこうビショップに言い返した。
「そして兄さんも」
「キングでありながらファンガイアを否定した者がか」
ビショップはその目にある狂気をさらに強いものにさせていた。それは言葉にも出ていた。
「そんな者に何ができるのだ」
「何ができるかか」
「そうだ」
ビショップはサガを見据えながら言った。登がなっているサガに。
「私にはできる。しかし貴様にはできない」
「それは違うな」
サガがビショップに言い返した。毅然として。
「俺にはできるが貴様にはできない」
「貴様も言うか」
「ビショップ、御前は何もわかっていなかった」
二十二年前の彼のことだった。
「そして今もだ」
「私が何もわかっていないというのか」
「そうだ。ファンガイアもまた人間だ」
彼がわかったことだった。
「それがわかっていない御前に何ができる」
「どうやら。苦しみ抜いて死にたいようだな」
「いや、死ぬのは御前だ」
今度はイクサになっている名護がビショップに言ってきた。
「この世界でもな」
「貴様も私が殺す」
やはりビショップは名護に対しても強い憎しみを持っていた。それは狂気と混ざり合いさらにおぞましい極彩色のものになっていた。
「この手でな」
「御前にそれはできない」
しかし名護もまたビショップを否定するのだった。
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