新オズの臆病ライオン
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第五幕その三
「空飛ぶ橇ね」
「ああ、橇に乗ってだね」
「サンタさんみたいにね」
トトに笑顔で答えました。
「そうしてなの」
「エメラルドの都に一気に飛んで」
「それで絵を受け取るわ」
「そうするんだね」
「すぐにね、じゃあ今からオズマにも連絡するわ」
トトに自分の携帯を出しつつ言いました。
「そうするわ」
「橇っていいますと」
神宝は空飛ぶ橇と聞いて言ってきました。
「曳く生きものが必要ですね」
「馬とかトナカイとか犬とかね」
ナターシャも言います。
「そうした生きものが必要ね」
「ええと、僕達の中でそれが出来るのは」
ジョージは皆を見て言いました。
「限られているね」
「犬でもトトは無理ね」
恵梨香はすぐにわかりました。
「小さいからね」
「そうなると臆病ライオンさんは腹ペコタイガーさんだね」
カルロスは二匹を見て言いました。
「そうだね」
「すいません、腹ペコタイガーさんいいですか?」
ふとお部屋に入ってきた若いアジア系の女性のお役人さんが言ってきました。
「頼みたいお仕事がありまして」
「僕になんだ」
「はい、神殿のお庭の森のことで」
「虎は森にいるからだね」
「そちらのことでお願いしたいのですが」
「ううん、けれど今橇のお話が」
腹ペコタイガーはそちらもとなって困りましたが。
すぐにです、臆病ライオンが言ってきました。
「橇は僕が曳かせてもらうよ」
「君がなんだ」
「僕は森には棲んでいないね」
「ライオンはね」
「森に棲んでいるのは君だから」
「虎だからなんだ」
「森のことは君だよ」
何と言ってもというのです。
「それでそっちは君が受け持って」
「君は橇を曳くんだ」
「うん、そうしてね」
そのうえでというのです。
「ここはね」
「君が行って」
「絵を受け取って来るよ」
「そうしてくれるんだ」
「任せてくれるかな」
「君がそこまで言うのなら」
親友と言っていい彼の言葉を受けてでした、腹ペコタイガーは答えました。
「それならね」
「僕に任せてくれるね」
「そうさせてもらうよ」
「じゃあ私が橇を操るわ」
ドロシーが言ってきました。
「今オズマに事情をお話したし」
「そうしてくれるんだね」
「今すぐね」
まさにというのです。
「橇に乗って」
「僕が曳いて」
「行きましょう」
「それじゃあね」
臆病ライオンも頷いてでした。
早速橇が出されてでした、そのうえで。
皆で一旦神殿のお庭に出てそこで臆病ライオンの身体に橇が付けられてドロシーが乗るとです、ドロシーは臆病ライオンに笑顔で言いました。
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