星河の覇皇
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第八十五部第三章 北京星系を見てその四十七
「なかった」
「地球にあった頃は」
「左様でしたね」
「あの頃はです」
「ロシアではバナナはそうしたものでした」
「ですが今は」
「普通にだ」
他の国の様にというのだ。
「食べられる」
「つまり何でもある」
「今のロシアは」
「だから外交の取引材料にも出せます」
「何でも」
「資源でも技術でもな」
グリーニスキーは確かな声で話した。
「出せる、ならな」
「フィジーもですね」
「腰を据えてくれますね」
「各国政府の方に」
「そうしてくれますね」
「そうなる、ただ我が国が動く前にだ」
それよりもというのだ。
「もうオーストラリアなりがな」
「動いてですか」
「引き留めていますか」
「その可能性もありますか」
「オーストラリアはフィジーとの関係が深い」
これは地球の頃からのことである。
「オーストラリアは旧南洋諸国の盟主だ」
「そう言っていいですね」
「あの国は」
「連合創設前からですし」
「今もそうですね」
「オーストラリアははっきりとだ」
まさにというのだ。
「各国政府の側にいる」
「あの国も伝統的に中央政府とは仲が悪いです」
「ロシアの様に」
「そしてです」
「今回もです」
「そうなのだからな」
そうした国だからだというのだ。
「あの国もな」
「必然的にですね」
「今回も中央政府と対立していますね」
「まして今のオーストラリア政府は分権派です」
「自国の権限確保に必死です」
「その立場からだ」
グリーニスキーは鋭い目で話した。
「フィジーが中央政府につきかねないならな」
「それならですね」
「あの国が動きますね」
「そうしてきてもおかしくないですね」
「左様ですね」
「だからだ」
それでというのだ。
「私が言うより先にな」
「フィジーに話をして」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「引き留めていますね」
「オーストラリアは飴と鞭は使わない」
ロシアの様にというのだ。
「基本自分の思い通りにならないならな」
「それならですね」
「騒ぐだけですね」
「それだけですね」
「強面の様でだ」
すごんでみせる時もあるがというのだ。
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