五月の王
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第一章
五月の王
イースター、復活祭の五十日後にはペンテコステ、聖霊降臨祭がある。これはメーデーを取り込んだ春の喜びを祝う祭りである。
これ自体も楽しいがドイツのチューリンゲンではさらにだ。
五月の王として選ばれる若者がいる、ある村ではオットー=ヴォルフ金髪碧眼で丸々とした素朴な外見の彼が選ばれた。
するとだ、友人達は彼の身体のサイズに合わせてだった。
「木の枠を組み立てろ」
「それをカバノキの枝で覆うんだ」
「一番上にカバノキと花で編んだ鈴の着いた冠をかぶせろ」
「そして森の中に置いておけ」
「そうするんだ」
「いや、まさかね」
オットーは笑ってだ、自分の為の枠が組み立てられていくのを見て言った。
「僕が五月の王になるなんてね」
「くじ引きの結果だからな」
「こういうこともあるだろ」
「それじゃあ宜しくな」
「五月の王になってくれよ」
「うん、それでだよね」
オットーは笑ったままこうも言った。
「森の中で枠に入って」
「村に連れて帰るからな」
「そこで皆で当てるぞ」
「五月の王が誰か」
「それで外れたら知らせてくれよ」
「鈴を鳴らしてな」
「そうするよ、それでだよね」
オットーは村の友人達に話した。
「皆は」
「ああ、これまで通りにやるからな」
「そのことは宜しくな」
「是非な」
「合せるよ」
皆にというのだった。
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