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軍鶏鍋

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第二章

「昨日の敵は今日の友ぜよ」
「そんなことよりもか」
「わし等はまずは幕府を倒してじゃ」
「日本を新しい国にしてだな」
「国を挙げてうんと強くならんといかんぜよ」
「この国を守る為にな」
「それで長州と薩摩は手を組んでぜよ」
 そうなってというのだ。
「わしもじゃ」
「後藤さんとか」
「今日会ったしな」
 そのうえでというのだ。
「あらためてぜよ」
「話をするか」
「二人でのう」
「大丈夫ですか?いきなりです」
 海援隊の一人陸奥宗光が言ってきた、整っているが何処が冷徹な感じがする顔と声である。そのどちらも怪訝なものにさせて龍馬に言ってきた。
「後藤がです」
「わしを殺すか」
「何しろ坂本さんは脱藩しているのですから」
 土佐藩をというのだ、その後藤が家老を務めている。
「しかも坂本さんは武市さんと親しかったですが」
「武市さんはやったからのう」
 龍馬は残念そうに述べた。
「後藤さんの姉さんの旦那さんのな」
「吉田さんを暗殺しています」
「わしが仇の友達だからぜよ」
「若しや」
「それなら今夜してきたぜよ」
 龍馬は陸奥に笑って返した。
「そうぜよ」
「とっくにですか」
「そうしてきてたぜよ」
 こう言うのだった。
「だからぜよ」
「この度はですか」
「心配無用ぜよ」
「そうですか」
「ではのう」
「今度はお二人で」
「じっくりと話すぜよ」
 これからのことをとだ、龍馬は笑って言ってだった。
 仲間達に後藤と二人で会うことを話した、それは後藤も同じで土佐藩の者達はどうかとなって彼に言った。
「大丈夫でしょうか」
「坂本龍馬といえばあの武市瑞山の親友です」
「それも子供の頃からの」
「その武市を殺したとしてです」
「岡田以蔵の友でもありましたし」
「いや、あの者は北辰一刀流免許皆伝」
 後藤は周りに龍馬のこのことから話した。
「しかも短筒まで持っておる」
「最新式の西洋製の」
「随分といいものの様ですな」
「では剣術かそれを用いて」
「今晩にですか」
「わしを殺していた、しかもあの者はそんなことはせぬ」
 龍馬とはじめて会って感じたことだった。 
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