イベリス
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第百二十六話 言葉を受けてもその十二
「飲めばいいさ」
「それじゃあ今度ね」
「飲みたい時はか」
「飲んでみるわ」
「そうしたらいいさ、ワインだってな」
白ワインを飲みつつ言うのだった。
「いいしな」
「よく飲んでるわね」
「ああ、美味いぞ」
今飲んでいるワインはとだ、父は娘に赤ら顔で話した。話をしながらそのワインを美味そうにさらに飲んでいく。
「これがな」
「そうなのね」
「今度こっちも飲めばいいさ」
その白ワインもというのだ。
「そうすればいい」
「じゃあそうするわね」
「それとな」
「それと?」
「くれぐれも言うが飲みたいならな」
その時にというのだ。
「飲むんだ、逆にな」
「今の私みたいに」
「飲みたくないならな」
「飲まないことだ」
そうすべきだというのだ。
「それがいい、無理して嫌でも飲んでもな」
「美味しくないから」
「接待の時とかでな」
父は仕事の話もした。
「飲めない人がな」
「無理に飲んでも」
「最近そんなこともないけれどな」
「飲めないなら」
「ジュースとか飲むな」
そうするというのだ。
「そうした人は」
「昔みたいに絶対にお酒飲まないと駄目じゃないのね」
「ああ、それでも飲みたくない時はな」
「接待で」
「飲まないといけない時もあってな」
それでというのだ。
「お父さんはそうしたことないけれどな」
「そうした人もいて」
「そうした人はそうした時はな」
「大変なのね」
「ああ、けれど基本な」
「飲みたくないなら」
「飲まないことだ」
そうすべきだというのだ。
「咲もな、じゃあ今は牛乳をだな」
「飲むわね」
「そうするんだ」
父は暖かい声で告げた、そしてだった。
咲は今は牛乳を飲んだ、そうして動くべき日に向かうのだった。
第百二十六話 完
2023・9・8
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