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八条学園騒動記

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第七百二十六話 チーターは実はその一

                チーターは実は
 チーターを観てだ、上等兵は大尉に言った。
「ふと気付いたのですが」
「何に対してだ」
「はい、人がチーターに襲われた話はです」
「ないな」
「聞いたことがありません」
「チーターも猛獣だ」
 大尉はこの事実を話した。
「紛れもなくな」
「そうですね」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「人はな」
「襲わないですか」
「猛獣の中では大人しい方でな」
 それでというのだ。
「そうしたことはだ」
「しませんか」
「そうだ」 
 こう言うのだった。
「だから別にな」
「恐れることは何ですね」
「むしろだ」
 ここで大尉は豹を見て話した。
「豹の方がだ」
「危険ですね」
「似ているがな」
 その外見はというのだ。
「だが習性も性格も違う」
「生きものとしてのそれは」
「チーターは速い」
 その足はというのだ。
「だが木の上からはだ」
「襲わないですね」
「速さを活かしてだ」
 そうしてというのだ。
「走る獲物を追いかけてな」
「狩りますね」
「それがチーターでな」
 それでというのだ。
「人はな」
「襲わないのですね」
「これといってな」
「そうなのですね」
「だから猛獣といってもな」
 そう呼ばれる生きものに区分されてもというのだ。
「特にだ」
「恐れることはないですか」
「無論警戒はすべきだが」
 それでもというのだ。
「大人しい種類であることはな」
「覚えておくことですね」
「むしろ豹の方がな」
「危険ですね」
「人にとっては虎より危険だ」
 この獣以上にというのだ。
「実はな」
「豹はそうですか」
「虎も危険だが」
 それでもというのだ。
「豹はな」
「より危険ですか」
「虎やライオンより小さいが」
「木の上から襲い掛かるので」
「よりな」
 虎やライオンよりもというのだ。
「危険だからな」
「警戒すべきですか」
「だから危険な場所にはだ」
 豹が棲息している様なだ。 
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