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食器は奇麗に

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第二章

「こうしてね」
「洗うか」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「こうしてね」
「犬のものもそうしないとな」
「駄目なのはわかるでしょ」
「ああ」
 洋介は確かな声で答えた。
「それはな」
「人も犬も同じよ」
「清潔なのがいいよな」
「だからね」
 それでというのだ。
「これからもね」
「ふわりの食器も洗うんだな」
「これからのね」
 こう言ってふわりの食器を丁寧に洗ってだった。
 それから拭いてふわりの前に戻した、ふわりはその奇麗になった食器をじっと見てから百合子の方を見て一声鳴いた。
「ワン」
「今はあげないわよ」
 百合子はこう答えた。
「ご飯はね」
「奇麗にしてもか」
 洋介は母とふわりの様子を見て言った。
「ご飯は決まった時間にあげるか」
「そうしないとね」
「そこも人間と同じか」
「お水は入れてるから」 
 見ればそちらはあった。
「けれどね」
「ご飯は決められた時間にあげるんだな」
「そうよ、そこも人間と同じにしてね」
「やっていくんだな」
「これからもね、ふわりいいわね」
 彼女にもあらためて言った。
「そうしていくわよ」
「クゥン」
 ふわりはそう言われて少し残念そうだった、だが。
 納得したのかそれ以上は態度に見せることなくだった。
 丸くなって眠りだした、母と息子はそんな彼女を見て微笑んで時間になったらご飯をあげようと話した。


食器は奇麗に   完


                     2023・11・22 
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