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家賃を出しても

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第一章

                家賃を出しても
 兄と同居しているサラリーマンの津島大輔は妻のOLをしている梨衣に言った。細面で茶色がかった黒髪をショートにしていて小さな目と唇を持っている。背は一七三位で痩せている。
「俺達家賃払ってるけれどな」
「どう見ても少ないわよね」 
 妻も言った、大きな切れ長の二重の目で濃く太い眉である。赤い唇は大きく黒髪を伸ばし後ろで束ねている。背は一六八程で胸がありズボンの上からでも形がよく長い脚がわかる。
「やっぱり」
「こんないいマンションでな」
「タワーマンションの最上階でね」
「それで二人共家賃三万ずつってな」
「少ないわね」
「しかもな」 
 夫はさらに言った。
「そこに水道代ガス代もな」
「入っているから」
「どう見てもな」
 それこそというのだ。
「少ないな」
「そうよね」
「兄貴に聞いてみるか」
 同居している彼にというのだ。
「そうするか」
「そうね、そういえばお義兄さんのお仕事って」
「在宅ワークだけれどな」
「大学卒業してからずっとね」
「そうして働いてるけれどな」
 それでもというのだった。
「具体的に何をしてるか」
「知らないわね」
「俺達が結婚してな」
 そうしてというのだ。
「職場が近いから同居したらどうかってな」
「元々このお部屋で暮らしていて」
「同居提案してきたけれどな」
「それでね」 
「ずっと一緒に住んでるけれどな」
「何の仕事してるか」 
 それはというのだ。 
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