プロレスラーの姉とモデルの妹

　　　　　　　　　　　　　　　プロレスラーの姉とモデルの妹
　モデルの草地未亜ははっきりした睫毛の長い大きな二重の目と細くきれいなカーブを描いている眉に赤い大きな口にすっきりした顎に大きな耳と黒くセットした長い髪の毛を持っていて一七〇の背とすらりとしたスタイルをしている、その外見を活かしてモデルをしているが。
　その彼女にだ、事務所の社長が言ってきた。
「君のお姉さんも美人らしいね」
「姉ですか」
「うん、だから今度姉妹でね」　
　それでというのだ。
「一緒仕事してみないかい？」
「姉も人前に出るお仕事だからですね」
「丁度いいね、しかもね」
　社長はさらに言った。
「お姉さんの所属はうちと同じ系列だから」
「お話もしやすいので」
「だからね」
　それでというのだ。
「どうかな」
「私は別に」
　これといってという顔でだ、未亜は答えた。
「反対する理由はないですから」
「じゃあいいね」
「はい、それでモデルのお仕事ですね」
「お姉さんもね」
「わかりました」
　未亜は頷くだけだった、そしてだった。
　姉妹で仕事をすることになり未亜はその仕事の現場とある雑誌の撮影現場に行った。そこにいるのは仕事馴染みの関係者ばかりだったが。
　自分そっくりの顔立ちの姉の妙子も来た、二人共今は撮影前なので着替えておらずラフな上着とズボンというものだったが。
　現場に来ていた社長は姉の方を見て仰天した。
「えっ、全然違うな」
「あの、私同じ系列といいましても」
　一七五あり全体的にがっしりした筋肉質の体格で言うのだった。
「プロレスラーですから」
「女子プロレスラーなんだ」
「八条プロレス所属の」
　こう言うのだった。
「妹と体格は全然違うと思います」
「姉は昔から体力あって格闘技も好きで」
　未亜も社長に話した。
「よく食べて運動して」
「それでなんだ」
「小学校から中学校は柔道をしていて」
　そしてというのだ。
「高校からプロレスをはじめて」
「それでレスラーになったんだ」
「そうです」
「毎日トレーニングは欠かさないです」
　妙子は笑って言った、笑顔は豪快な感じで明らかにモデルのものとは違う。
「ちゃんことか好きです」
「そうなんだね」
「はい、沢山動いて食べて試合して」
　そうしてというのだ。
「頑張っています」
「ううん、それはいいけれど」
　社長はそれでもと言った。
「モデルかっていうと」
「違いますね」　
　姉の方から言った。