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先生とロバ

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第二章

「仲よしですね」
「そうなっているよ」
「何よりですね、それに」
 親父はそのカデイフェを見て話した。
「何か首輪をです」
「噛むね」
「カデイフェは」
「それが好きなんだ」
 コックは笑顔で話した。
「あの子は」
「そうなんですね」
「それで犬達とも仲がいいけれど」
「ワンワン」
「ヒヒン」
 ここでだった。
 カデイフェは黒と白のハスキーと身体を寄せ合った、そのうえで一緒にいたが。
 そのハスキーを見てだ、コックは話した。
「あの子と一番だよ」
「仲よしですね」
「そうなんだ」
 こう話した。
「何といっても」
「そうですか、確か」
 親父はその犬を見てさらに言った。
「ベネックでしたね」
「雄でね」
「そうでしたね」
「あの子は難産で」
 それで生まれてというのだ。
「暫く大変だったよ」
「難産というと」
「どうもカデイフェも」
 彼もというのだ。
「母親は弱っていて」
「それで生まれて」
「もうそれこそ」
「最後の力を振り絞って」
「そして生み出された」
 そうしたというのだ。
「そんな子だから」
「似ていますね」
「そのせいかね」
「仲がいいですか」
「お互いのことを知っているかどうかわからないけれど」
 それでもというのだ。
「それがね」
「縁になって」
「アッラーが導かれて」 
 二匹をというのだ。
「それでだろうね」
「アッラーは偉大ですね」
「あらゆることをご存知で」
 そしてというのだ。
「幸せをもたらして下さい」
「この上なく偉大です」
「全くだよ」
 遊ぶ彼等を見て話すのだった、そしてだった。
 コックはそれからも生きもの達を助けて言った。その中にカディフェがいたことは言うまでもない。彼は友人達特にベネックと共に幸せに暮らした。


難産から幸せに   完


                   2023・11・17 
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