新オズの臆病ライオン
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第一幕その八
「おばさんが焼いてくれたパイはね」
「そうだね」
「アップルパイやピーチパイもいいけれど」
「このレモンパイだってね」
「こちらも美味しいよね」
「本当にね」
実際にというのです。
「美味しくてね」
「幾らでも食べられるね」
「そしてね」
臆病ライオンはレモンティーも飲みつつ言います。
「紅茶だってね」
「いいよね」
「レモンティーもね」
「おばさんのお料理いいよね」
「何でもね」
腹ペコタイガーにこうも言いました。
「おばさん自身が言うには」
「どうしたのかな」
「おばさんカンサスにいた頃は」
その頃はといいますと。
「そんなにね」
「お料理得意じゃなかったんだ」
「そう言ってるんだ」
おばさん自身はというのです。
「何か食材も調味料もキッチンもね」
「お料理に必要なものがだね」
「全部まともに揃ってなくて」
それでというのです。
「あまりね」
「お料理もなんだ」
「作っても」
そうしてもというのです。
「美味しくはね」
「ならなかったんだ」
「そう言ってるよ」
「カンサスにいた時はね」
そのおばさんもお話してきました。
「とても貧しくて食材も調味料もね」
「今みたいにはだね」
「揃わなくてキッチンもね」
臆病ライオンに応えてお話します。
「とてもね」
「こんな風にはだね」
「作れなかったのよ」
「成程ね、幾ら料理上手でも」
腹ペコタイガーもここまで聞いて言いました。
「食材や調味料が揃ってないと」
「そしてキッチンも充実していないとね」
また臆病ライオンが言いました。
「どうにもね」
「美味しくなくなるんだね」
「お料理の腕と」
それに加えてというのです。
「そうしたもの全てが揃ってね」
「お料理は美味しくなるんだね」
「そうみたいだよ」
「成程ね」
「それでね」
臆病ライオンはさらに言いました。
「オズの国では皆揃っていてレシピもね」
「ああ、本でもサイトでもね」
「充実しているからね」
「美味しいものが作られるんだね」
「あとインスタント食品や冷凍食品もあるな」
おじさんが笑って言ってきました。
「缶詰もあるし」
「僕全部好きだよ」
「僕もだよ」
二匹でおじさんに応えました。
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