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イベリス

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第百二十四話 相手の好みその三

「かなりな」
「勇気がいりますね」
「断わられたらとか思ってな」
 それでというのだ。
「これがかなりな」
「勇気がいるんですね」
「ああ」
 そうだというのだ。
「本当にな」
「勇気ですか」
「もう東京だとな」
 この街ではというと。
「東京タワーから飛び降りる様な勇気が必要だな」
「清水寺じゃないんですか」
「あれは京都だからな」
 この街のことでというのだ。
「東京だとな」
「東京タワーですか」
「それかスカイツリーだな」
 こちらになるというのだ。
「まあ今だとそっちか」
「スカイツリーですか」
「そこから飛び降りる位の気持ちでな」
 それでというのだ。
「思い切りな」
「勇気を出して」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「告白するんだよ」
「そうすることですか」
「ああ、だからな」 
 それでというのだ。
「その時は頑張れよ」
「そうします」
 咲もそれならと答えた。
「全力で」
「ああ、そしてな」
 それにというのだった。
「何時何処で告白するかもな」
「そうしたこともですか」
「考えておけよ」
「学校だったら校舎裏とか体育館裏とかですね」
 咲はまずは場所から答えた。
「放課後とかに」
「学校だとそうだよな」
「よく聞きます」
「だよな、けれど嬢ちゃんの場合はな」
咲を見て言うのだった。
「学校じゃないからな」
「場所が問題ですね」
「時間もな」
「そうですよね」
「まあ確実にいるのはな」
 その時と場所はというと。
「五時までの交番だな」
「あそこですね」
「非番じゃなかったらな」
 その時はというのだ。
「あの人はな」
「あの交番にですね」
「いつもいるよ、ただな」
 マスターはこうも言った。
「非番の時はな」
「やっぱりおられないですね」
「ああ」
 そうだというのだ。
「その時はな」
「そうですよね」
「だからその時はな」
「何時かですね」
「知っておいた方がいいよな」
「ご存知ですか」
「流石に何時非番かは俺も知らないけれどな」
 近藤のそれはというのだ。 
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