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X ーthe another storyー

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第四十二話 虚無その十四

「左様ですね」
「そうだったよ」
「そうですね、しかし」
「それはだね」
「阻まれましたね」
「そうなったよ」 
 実際にとだ、牙暁も答えた。
「むしろね」
「地の龍の方がですね」
「六人、戦えるのは五人になって」
「不利になっていますね」
「あの人こそがね」
「世界を、人間をですね」
「滅ぼそうとしているよ」
 そう考えているというのだ。
「まさにね」
「左様ですね」
「実はね」
「庚さんは考えていないですね」
「むしろね」
 それこそというのだ。
「本来のあの人をね」
「救いたいですね」
「そう考えているよ」
「庚さんにお伝え下さい」
 星史郎は澄んだ声と微笑みで牙暁に言った。
「応援させてもらいますと」
「それはつまり」
「あの人を救って」
「人間もだね」
「僕は地の龍ですが」
 地球の為に人間を滅ぼす者の一人だがというのだ。
「実はです」
「彼のことがあって」
「他のことはです」
「どうでもよかったんだね」
「人間を滅ぼそうとは」 
 その様にはというのだ。
「考えたことはです」
「なかったんだ」
「他の地の龍の人達もですね」
「うん、実はね」
「そうですね」
「皆人間が好きだよ」
「颯姫さんも」 
 感情がないと言ってまでいい様な彼女もというのだ。
「そうですね」
「それは何故か」
「人間だからですね」
「皆ね。地の龍であって」
 それと共にというのだ。
「それ以上に」
「人間ですね」
「だからね」
「人間を滅ぼそうとは」
「地の龍であることは自覚していても」
 そうであってもというのだ。
「実はね」
「考えていませんね」
「そうだよ、僕も」
 他ならぬ牙暁もというのだ。
「出来ればね」
「人間を滅ぼさずに」
「そう、地球は回復出来ると考えているから」 
 だからだというのだ。
「そして人間が好きで」
「北都さんとですね」
「友達になれたしね」
「滅ぼしたくないですね」
「人間は醜いよ」
 牙暁は人間のこの一面を否定しなかった。 
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