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八条学園騒動記

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第七百二十三話 狼へのイメージその五

「その山は木々に覆われている」
「そうした山ですか」
「つまり普通の森より傾斜がありだ」
「足場の悪い森に棲息していますか」
「そうした狼でな」
「普通の狼とは違いますか」
「また別の種類なのだ」
 普通の狼とはというのだ。
「生物学的な区分としてな」
「それで普通の狼より小さいのですね」
 上等兵はこのことに気付いた。
「棲息している環境がそうであるので」
「そうだ」
 その通りという返事だった、大尉の今のそれは。
「進化も違う」
「ではです」
 ここで上等兵はコヨーテやはり狼の傍にコーナーがあるその生きものそしてドールも観て言ったのだった。
「コヨーテやドールも」
「どちらも狼だがな」
「また違いますか」
「コヨーテは草原地帯にいる」 
 地球では北米大陸のプレーリーに多く棲息していた。
「そうだった、またドールは鬣があるな」
「そうですね」
「それでタテガミオオカミとも呼ばれるが」
「狼でもですか」
「狼とはな」
「同じイヌ科ですね」
「イヌ科だがな」 
 それでもというのだ。
「狼とは厳密にはな」
「また違う種類ですね」
「そうなっているのだ」
「そうですか」
「だがニホンオオカミもコヨーテもドールも人は襲わない」
 それはないというのだ。
「彼等はな」
「そうなのですね」
「そしてやはり畑を荒らす生きものをだ」
「食べるのですね」
「そうするからな」
 だからだというのだ。
「連合では好まれている」
「そうした生きもの達ですか」
「エウロパの様に常に童話の悪役になったりな」
「そうはならないですか」
「童話には出てもトリックスターだったりする」
「悪役とはですね」
「言い切れなかったりする」
 言うなら狂言回しになるというのだ、物語の。
「そうであってな」
「それで、ですか」
「狼は決して悪くはない、むしろな」
「いい生きものですね」
「そう思われていてな」
 そしてというのだ。
「大事にもだ」
「されていますか」
「子供からも人気がある」
「エウロパでは子供を怒るのに」
「悪魔が来る吸血鬼が来ると言ってな」 
 大尉はエウロパで恐れられている存在を出していった、エウロパ各国ではこの時代でも吸血鬼は恐怖の象徴であるのだ。
「そしてだ」
「狼もですね」
「その中に入るが」
「連合ではですか」
「吸血鬼は言われてもな」
「悪魔はないですね」
「悪魔は神に対するもう一つの正義とだ」
 その様にというのだ。
「連合では考えられている」
「異神教という宗教もありますね」
「だからだ」
 その為にというのだ。 
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