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神々の塔

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第四十二話 血に酔い痴れる女神その五

「あんなアホな人雇ったからやって」
「お店も潰れる」
「そこまで人を見る目がないのなら」
「それならですね」
「権力に反対するならテロして人を殺してもええって」
 そう言うことはというのだ。
「殺された人の命の重みも殺された苦しみも遺族の人達の悲しみもわからへんわかる気もないと言えんことやし」
「まさに究極の愚か者ですね」
「そう考えますと」
「そう言うしかないですね」
「そんなアホな人雇うんやったら」
 そうであるならというのだ。
「ほんまそのお店もあかんわ」
「人の痛みや苦しみをわからないわかろうともしない」
「また権力と言っても国家権力ですね」
「権力なぞ幾らでもありますが」
「それこそ人の集まる場所なら」
「そうしたこともわかってへんし」
 もっと言えばわかるつもりもないというのだ。
「テロ起こす相手が自分が権力者になろうとしてるとか」
「そうしたことも考えないとなると」
「最早出来損ないですね」
「人というより」
「そう言っていいですね」
「うちが聞いた人の中で一番あかん人やで」
 今話している輩はというのだ。
「今どうしてるか知らんけど」
「どうせ碌なものではないですね」
「そこまで愚かですと」
「どうにもなりません」
 大蛇は八つの頭で忌々し気に答えた。
「愚劣と言っても足りません」
「最早です」
「付ける薬もありません」
「まさに出来損ないです」
「世の中どんな宗教や哲学でも救えん人おるけど」
 それでもというのだ。
「こうした人は」
「救われないですね」
「やはり」
「左様ですね」
「救われるにもある程度のもんが必要やね」
 綾乃はこうも言った。
「やっぱり」
「はい、何もありませんと」
「少なくとも宗教や哲学を聞く耳がないとです」
「受け入れるものがないと」
「救われないですね」
「誰もが救われるっていうけど」
 よく言われて聞く言葉だがというのだ。
「そやけど」
「そうではないですね」
「決して」
「どういった宗教や哲学でもです」
「それを聞けてです」
「受け入れるものがないと」
「あかんね」 
 綾乃は考える顔で言った。
「聞くにもそれが出来るもんがないと」
「もう何言うてもまともに受け入れん奴おるからな」
 中里もどうかという顔で言った。
「その宗教や哲学の悪口言うたりな」
「聞いてもですね」
「逆にな」
 鵺自分が乗っている彼に話した。 
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