X ーthe another storyー
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第四十一話 好意その三
「わからないならね」
「もう最初から何も感じないので」
「自覚がないから」
「言わないですね」
「そうなりますか」
星史郎は二人の話にはっとなった。
「痛みを感じないというのは」
「ええ、逆に言えばね」
颯姫は星史郎にも話した。
「わかるから」
「言うことですか」
「それについて語るにはそれを知ることが必要よ」
お汁粉を食べながら話した。
「知らないと何もね」
「語れないですね」
「貴方は心が痛んだことがあって」
「それを知っているからこそ」
「心の痛みという言葉を出したのよ」
そうであったというのだ。
「そうなのよ」
「そうなりますか」
「そうですね」
遊人は颯姫のその言葉に頷いた。
「痛みも知らないとです」
「語れないわね」
「そうです、では星史郎さんもです」
「心に痛みを感じますか」
「そうですよ、ですから」
「今言えるのですね」
「はい、そして痛みを感じられるからこそ」
星史郎に微笑んで話した。
「星史郎さんはとても優しいのですよ」
「そうね」
まさにとだ、庚は遊人の言葉に頷いた。
「星史郎はとても優しい人よ」
「僕が優しい」
「ええ、本物の優しさがあるわ」
「仮面ではなく」
「仮面の目は笑わないわ」
庚はこのことを断った。
「けれど貴方は違うわ」
「目も笑っていますか」
「その光も温かいわ」
このことも言うのだった。
「だからね」
「それで、ですか」
「貴方は人の心の痛みを理解出来て」
「そこから優しさもですか」
「備えているわ」
「俺もそう思います」
封真も確かな顔と声で述べた。
「星史郎さんは人の心の痛みがわかりまして」
「優しいですか」
「とても」
「嘘吐きですが」
星史郎は自分のこのことを話した。
「そして嘘吐きは」
「人の心の痛みがですか」
「そして優しくもないのでは」
「嘘と言っても色々ですね」
これが封真の返事だった。
「真実を隠すものもあれば」
「他にはですか」
「自分の身を守る為であったり逆に」
「誰かを守る為に」
「吐く嘘もありますね」
「だからですか」
「はい、星史郎さんの嘘が誰かを守る為のものなら」
それならというのだ。
「いいのでは」
「そうですか」
「俺はそう思います」
「僕は人の心の痛みがわかるのですか」
自分の言葉に驚きも込めさせてだ、星史郎は言った。
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