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第一章
わかった
ロシアのお話です。
ある森がすぐ近くにある村ではレーシィというモミの木の精霊が時々来て村の人達に悪戯をしていました、その悪戯は他愛のないものでしたが。
悪戯をされて気分のいい人はいません、それで皆レーシィの悪戯に気をつけることにしました、ですが。
「レーシィは化けるからな」
「村の誰にでも」
「いつも化けて村に来て悪戯をする」
「だから悪戯を防ぐことも難しい」
「村人に化けてやられるとな」
「実に困る」
「全くだ」
皆このことも困っていました、レーシィは悪戯好きなだけでなく何と誰かに化けることも得意なのです。
しかも今そこにいない人に化けます、だから皆余計に困るのでした。
「頭もよくてだ」
「そこや近くにいる人に化けないからな」
「だからわからない」
「それで悪戯をしてだ」
「後で化けた人が来て何だとなる」
「それの繰り返しだ」
「本当に厄介な奴だ」
「どうしたものか」
村の人達はこう言って頭を抱えていました、ですが。
そのお話を聞いた都の学者さんでラックスマンさんという茶色のお髭を知的に生やした恰幅のいい人はそのお話を聞いて女帝陛下エカテリーナ二世に言いました。
「少し私が行ってです」
「あの村で起こっていることをですね」
「解決してきます」
皇帝に笑顔で言うのでした。
「そうしてきて宜しいでしょうか」
「民が困っているならそれを解決する」
陛下はラックスマンさんに答えました。
「それが国を治める者の務めです」
「左様ですね」
「だからです」
そうせねばならないからだというのです。
「ここはです」
「私があの村に行って来ていいですね」
「そうしてきなさい」
陛下はラックスマンさんに命じました、こうしてです。
ラックスマンさんは橇で都からその村に行きました、そして村に着いてすぐに村の人達から事情を聞きました。
するとです、ラックスマンさんはすぐに村の人達に言いました。
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