サエーナ樹
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第一章
サエーナ樹
かつて世界にはサエーナ樹という巨大な木があった、この木は非常に素晴らしい木でありこの世に命をもたらすものだった。
この木は光と善の神アフラ=マツダの誇りでもあり神はこの木を守っていた。だがこの木に対してである。
闇と悪の神アンラ=マンユは悪意を持ち自身に仕える悪の蛙に言った。
「そなたあの木を枯らすのだ」
「サエーナ樹をですね」
「あの木はこの世に命をもたらす」
悪神はこのことに忌々しさを感じていた、そのうえでの言葉だった。
「だがな」
「それはですね」
「私にとって不都合だ」
闇の中で言うのだった。
「だからな」
「あの木を枯らし」
「この世に命が満ちない様にする」
そうするというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
蛙は主の言葉に頷いた、そしてだった。
すぐに木に向かった、だがそれを見てだった。
アフラ=マツダは木を守護する巨鳥スィームルグとチャムローシュそれぞれ黄金と白銀に輝く身体を持つ彼等に命じた。
「何としてもだ」
「アンラ=マンユからですね」
「サエーナ樹を護るのですね」
「そうするのだ」
二羽の鳥達に命じた。
「よいな」
「わかりました、それではです」
「あの木を護ります」
鳥達も約束した、そしてだった。
鳥達は木を護った、だが蛙の数はあまりにも多く。
水と植物の精霊アムルタート、青い肌と緑の神を持つ若者の姿をした彼が光に神に難しい顔で言った。
「彼等ですらです」
「敵の数が多過ぎてか」
「はい」
その為にというのだ。
「このままではです」
「防ぎきれないか」
「そうかと」
「では魚とだ」
神はすぐに対策を出した。
「驢馬を出してだ」
「蛙達を防ぎますか」
「そうする」
こう言って早速だった。
神は魚達を出して蛙達が来る水に放った、そして。
三本足に六つの目、九つの口を持つ驢馬を出して言った。
「彼等もな」
「蛙達に向かいますか」
「アンラ=マンユの軍勢が来てもな」
彼等がというのだ。
「しかしな」
「それでもですか」
「私も戦う」
神自身がというのだ。
「そうする、だからな」
「何としてもですね」
「木を護るぞ」
「わかりました」
精霊は神の言葉に頷いた、そしてだった。
木を巡っての戦いが行われた、その戦いは長く続いた。
木は護られていた、だが。
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