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ハッピークローバー

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第百話 彼岸を過ぎてその十一

「南海の駅から国道越えてな」
「区役所も面したね」
「それで広い歩道歩いて」
「商店街の方行って」
「あそこの近くにお家あるよな」
「そう、覚えてるのね」
「ああ、それでな」
 成海は微笑んでさらに話した。
「かな恵俺あの人に紹介してくれたな」
「彼氏ってね」
「付き合いはじめてすぐだったな」
「その時だったね」
「いや、何であの時な」
「天下茶屋行くかわからなかったのね」
「遊びに行くのかってな」
 その様にというのだ。
「最初思ったの」
「それがね」
「まさかな」
「ひいお祖父ちゃんに紹介するなんて」
「思わなかったよ」
 こうかな恵に話した。
「それでな」
「ひいお祖父ちゃんとひいお祖母ちゃんに紹介してね」
「本当に驚いたよ、ただな」 
 それでもとだ、かな恵に言うのだった。
「物凄く優しくていい人達でな」
「ほっとしたでしょ」
「ああ、俺も可愛がってくれて」
「そうなの、凄くね」
 かな恵は自分の曽祖父それに曾祖母の話をさらにした。
「私にも明男にもね」
「滅茶苦茶優しいんだな」
「だから明男はね」 
 弟はというのだ。
「よくあそこに行くの」
「そうなんだな」
「団地からね」
「同じ大阪市でも離れてるけどな」
 大阪市と一口に言っても二十四の区がありそれぞれの距離も存在している、かな恵達がいる団地から天下茶屋まで結構な距離があるのだ。
「それでもか」
「そう、普通にね」
「行ってか」
「可愛がってもらってるの」
「そうなんだな」
「二人共元気だしね」
 曽祖父も曾祖母もとだ、かな恵はにこりと笑って話した。
「だからこれからも」
「元気であって欲しいよな」
「ずっとね、百歳までね」 
 そこまでというのだ。
「生きて欲しいわ」
「ひいお祖父さんもひいお祖母さんもか」
「そう思うわ」
「いい人はずっと元気でいて欲しいよな」
 成海はかな恵の話を聞いてこう述べた。
「やっぱりな」
「そうよね」
「そうした人がずっといてくれたら」
 成海はさらに話した。
「それだけで幸せだよな」
「自分とは直接関係なくても」
「いてくれるだけでな」
「そうよね、親しい人がいい人で」
「その人がずっといてくれるだけでな」
「幸せよね」
「嫌な奴はいなくていいけれどな」
 成海はこうも言った。
「逆にな」
「あっ、親戚でも」
「ああ、親戚でも嫌な奴いるよな」
「どうしてもね」
「そんな奴はな」
「いなくていいわね」
「中には避けててもな」 
 その親戚がというのだ。 
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