| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

寄り添い合って一緒に幸せに

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

               寄り添い合って一緒に幸せに
 そのマンションの玄関で悲しそうな顔で座っている一匹の茶色の耳が立っている中型の雄犬を見てだった。
 この国に仕事で来ているルイス=ジョーンズ長身で引き締まった体格にアフロヘアのアフリカ系の彼は一緒にいた友人に言った。
「何かあるなあの子」
「ああ、ちょっとマンションの管理人さんに聞いてみるか」
 友人もこう応えた。
「ちょっとな」
「そうするか」 
 二人で話してマンションの方に行ってだ。
 管理人室にいる初老の男が二人に眉を曇らせて話した。
「今は私が便宜的に飼い主になってるんですが」
「それでもかい?」
「はい、あの子はベスといいまして」
「このマンションの住人の人がか」
「お年寄りのご夫婦が飼っていたんですが」
 それでもというのだ。
「今はです」
「そのご夫婦が介護施設に入って」
「私に預けて新しい家族を見付けて欲しいと」
 その様にというのだ。
「預けたんですが」
「ずっと飼い主を待っているんだな」
「はい、ですが飼い主の人達はもう」
「施設にいて」
「帰って来ないです、あの子にも言ってるんですが」 
 今もマンションの玄関でじっと座っているベスを見て話した。
「どうしてもです」
「前の飼い主さん達を慕って」
「待っています」
「それなら」
 ジョーンズはここまで話を聞いて言った。
「ここは」
「どうすればいいか」
「やはり新しい飼い主さんを見付けるべきだね」
 ジョーンズの友人が言ってきた。
「どうも管理人さんも長く飼えない事情があるみたいだし」
「私と家内の二人暮らして息子夫婦は離れた場所に暮らしていますが」
「それでも」
「私も家内も持病が深刻で」
「それじゃあ」
「飼うことは難しいです」
 そうだというのだ。
「ですから」
「よし、じゃあ保護施設に連絡して」
 ジョーンズはすぐに知恵を出した。
「里親を募集してもらおう」
「保護施設ですか」
「そうした団体を知っているから」
 ジョーンズは管理人に話した。
「すぐに」
「ではお願いします」
「それではね」 
 ジョーンズはすぐに自分がこの国で知り合った知人が運営している生きものの保護団体に連絡した、後は迎えを待つだけで。
 その間ベスを見守る為に彼の傍に友人それに管理人と共に赴いたが。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧