普通の姑
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第一章
普通の姑
家に自分の母を迎えることになってだ、夫の星川臣人は妻の明音に難しい顔で言った。夫は細面で黒い癖のある真ん中で分けた髪で太い眉と明るい顔立ちで背は一七四位で痩せている。妻は黒髪をロングヘアにしていて顎の形がいい顔に色白で奇麗なカーブを描いた眉と切れ長の二重の目に小さな唇を持っている。背は一六〇位で脚が長い。
「母さんだけれど」
「何度かお会いしてるけれど」
「気まぐれで性格にムラがあってね」
それでというのだ。
「愚痴や意地悪やヒステリーや我儘はないけれど」
「不機嫌だと喋らないみたいね」
「うん。機嫌がいいと陽気でね」
そうした人間でというのだ。
「結構付き合い難しいから」
「そうね、じゃあ気を付けるわ」
妻の返事はあっさりとしたものあった。
「私もね」
「それだけ?」
夫は妻の返事を聞いて怪訝な顔で問い返した。
「いや、本当にね」
「お義母さんとのお付き合いは難しいのね」
「そうだけれど」
「何でもないわよ」
明音は夫に笑って返した。
「本当にね」
「そう言うんだ」
「それじゃあこれからは三人で」
「暮らそうね、子供が出来たらね」
「子供も入れて」
「それで暮らそう」
「それじゃあね」
こう話した、そしてだった。
義母の光代を迎えた、光代は息子である夫が言う通り気まぐれで気分屋で不機嫌な時は何も喋らなかった。
だが妻は義母のそんな時は声をかけず陽気な時を見て声をかけてだった。
普通に付き合っていた、特に仲は悪くなく姑の機嫌がいいと仲良く家事もしたりしていた。そんな彼女を見てだった。
夫は驚いてだ、妻に二人の寝室の中で一緒に別途に入ってお互いパジャマ姿にいる時に横にいる彼女に尋ねた。
「うちのお袋平気?」
「平気ってお付き合いが」
「親戚の間でもやりにくいってね」
その様にというのだ。
「言われてるけれど」
「いや、全然よ」
妻は夫に笑って答えた。
「お義母さん普通よ」
「普通かな」
「だって愚痴言わなくて」
「不機嫌だと黙るよ」
「それだけでしょ」
「気まぐれだしね」
夫は自分の母のこのことも言った。
「去年死んだ親父もずっとね」
「お義母さんのそうしたところによね」
「困ってたけれど」
「意地悪じゃないのは確かで我儘言わないし」
妻は義母のこのことも話した。
「ヒステリー起こさないし遠慮もしてくれるし家事だってね」
「するからなんだ」
「普通にね」
「あれだけ気分屋なのに」
「気まぐれで気分屋位何でもないわ」
ここでも笑って言った。
「私の親戚で凄い人いたから」
「凄いっていうと」
「これまで話していたなかったけれど一人凄い人いて」
「母さんよりもなんだ」
「比べものにならないわ」
「どんな人?」
夫は気になって尋ねた。
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