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星河の覇皇

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第八十五部第二章 日本大使館その八

「どうしてもです」
「辛いですね」
「その味は」
「大根のおろしたお汁ですから」
「そこにお醤油を入れたものですから」
「ですからお蕎麦は少しだけつけて」
 そしてというのだ。
「噛まずにです」
「喉越しを味わう」
「そうして食べますね」
「武蔵星系ではお蕎麦は」
「そうしますね」
「そうです、そしてこの食べ方もです」
 女性はこうも言った。
「日本の食べ方です」
「この国のですね」
「我々が今いる」
「この国の食べ方の一つですね」
「そうです、その国にいるのなら」
 それならというのだ。
「その国のことを知ることです」
「それもよく」
「隅から隅まで、ですね」
「知ることですね」
「そうすべきですね」
「それでこそです」
 そこまでしてというのだ。
「ようやくです」
「その国のことを知って」
「そうして働くことが出来る」
「そうなのですね」
「相手を知って」
 そしてというのだ。
「自分自身も知る」
「そう言われていますね」
「外相はいつも言われていますが」
「大使もですね」
「そうした考えなので」
 穏やかな、そして十代の少女を思わせる高い声で言った。
「ですから」
「こうしてですね」
「日本文化を学ばれる」
「そうしたこともされていますね」
「そうです、歌舞伎や落語も観て」
 そしてというのだ。
「今日は浄瑠璃ですが」
「古き日本文化ですね」
「そうしたものも観て、ですね」
「日本を知られるのですね」
「そうされますね」
「そうです、山城星系でも学べますが」
 日本文化、それをだ。
「ですが」
「それでもですね」
「日本文化は様々で」
「武蔵星系で学べるものもある」
「だからですね」
「今はこちらにお邪魔して」
 そしてというのだ。
「こうしたお店でもです」
「召し上がられていますね」
「お蕎麦にしても」
「左様ですね」
「そうです、それではです」
 女性はさらに言った。
「私はもうこれで」
「宜しいですか」
「お蕎麦は」
「一皿で」 
 それでというのだ。
「満足です」
「もう我々は何皿も食べていますが」
「大使は、ですか」
「もう宜しいですか」
「そうなのですか」
「この身体ですからね」
 自分の小柄さを嗤って話した、見ればその大きさは連合では小学生それも中学年と言っても通用する位である。 
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