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星河の覇皇

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第八十五部第二章 日本大使館その五

「あの人には」
「チバ大使は難敵ですから」
 小柳はあえて言った。
「ですから」
「その為に」
「中々です」 
 彼女に対してはというのだ。
「手を出せませんし」
「手を出せば返り討ちに遭う」
「ですから」
「総理が帰られるまで、ですね」
「私達は私達の仕事をしていきましょう」
 これをというのだ。
「今は」
「それがいいですね」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「各国政府との連携を確立し」
「そしてですね」
「準備を整えましょう」
「そうですね」
 東は小柳のその言葉に頷いた、そうして。
 ここでだ、彼はこうも言った。
「自分の出来ることを十二分にやる」
「それも政治家ですね」
「自分の分を無視したことを行い」
「それで失態を犯したなら」
「国益を害することになります」
「そうなるので」
 だからだというのだ。
「自分の分を弁えることも大事ですね」
「全くですね、そうした能力がないというのにそれを行おうとし」
「失態を犯した話は多いですね」
「人類の歴史では」
 東は沈痛な声で述べた。
「一体どれだけの人物がそうしてきたか」
「そして歴史で否定的な評価を受けてきたか」
「わからないですね」
「全く以て」
 小柳はざるそばを食べて言った、つゆは昆布も入っていて濃厚な味を出している。その中には山葵も入っていて程よい刺激もある。
「人類の歴史において」
「実に多いですね」
「自分は出来ると過信して」
「過ぎたことを行う」
「それはもうどうにもなりません」
「私達はそうならない為にも」
「チバ大使には向かわないでおきましょう」
 こう言ってだ、そしてだった。
 蕎麦を食べ終え箸を置いた、東は彼女の少し前にそうしたが。
 ここで小柳は蕎麦湯を飲んだ、それでこう言った。
「最後のです」
「この蕎麦湯もですね」
「いいものですね」
「そうですね、ただ」
「蕎麦湯の後はですね」
「やはりお茶ですね」
「左様ですね」
 小柳も否定しなかった。
「蕎麦湯の後は」
「お茶はあがりといいますが」 
 蕎麦屋ではこの時代もこう呼ぶのだ。
「それは最後に飲むもの」
「そう言われますね」
「それで、です」
「その様にですね」
「蕎麦湯を飲んでも」
 最後にはというのだ。
「やはりです」
「あがりですね」
「お茶を飲む様にしています」
「左様ですね、私はそうではないですが」
 ここで小柳はこう言った。 
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