インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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ツインテの中華幼なじみ
翌日の朝、篠ノ之にしごかれる一夏を見て俺はホログラムを使用した対集団用の特訓を終わらせた。
「じゃあ篠ノ之。時間を見て特訓を終わらせてくれ」
「承知した」
「承知するな!」
後ろで抗議されるが、それでもいつ狙われるかわからないこの状況の中でもっとマシになってもらわないと困る。
そう思いながらシャワーを浴び、少し早めの朝食を取り始める。
「あ、あなたは………」
どこかで聞いたことあるか細い声の方に振り向くと、そこにはセミロングの水色の髪をした女の子がいた。
「……えっと」
「―――あ、かざみん!」
そしてこの学園内でこう呼ぶのは彼女しかいない。
「本音か」
「珍しいね~。かんちゃんと一緒だなんて~」
「……『かんちゃん』?」
一体誰のことだ?
「本音、その言い方は、やめて……」
「って、アンタかよ……」
「本名は『更識簪』なんだよ~」
「なるほど。だから『かんちゃん』か……」
俺が納得していると周りから囁き声が聞こえた。
「ねぇあれ、生徒会長の妹よね?」
「もしかして、体を使って取り入ろうとかしてるのかな?」
「大して胸もないくせにね………」
(は? こいつらの頭、大丈夫なの?)
生徒会長の妹って、馬鹿じゃね? その子に名前があるんだからちゃんと名前で呼んでやれよ。
「……三下風情が」
俺が胸のあるなしで女を決めていると思っているのか? 知り合いだから話しているだろうが。というか、
(テメェらよりかレベル高いだろうが)
そんなことを思っていた。
「かざみん?」
「ん? 何だ?」
「……大丈夫?」
「ああ。問題ない。いつでも斬れる」
「待って! それはおかしい!」
俺と本音の会話を聞いて、さっきの様子はどこへ行ったのか彼女は笑っていた。
■■■
そしてゆっくりしすぎて寮から教室に行くのが遅くなったが、俺は歩いていた。
「何格好付けてるんだ? すげえ似合わないぞ」
一夏の声を聞いて、お前の鈍感さも顔に似合わないなと言いたくなった。
「んなっ……!? なんてこと言うのよ、アンタは!」
しかも知り合いかよ。俺がどれだけクラスメイトや他クラスの女子たちに気を遣っているのわかんないのかよ。
「おい」
教室に入ろうとしたらその女が邪魔だったので声をかける。
「なによ!?」
「精神的邪魔だ。失せろ」
「アンタには関係ないでしょ―――」
―――ドサッ
「最初からゴミ箱に捨てればよかった」
邪魔だったから猫掴みしてゴミ箱に放った。
「ちょっと! 乙女の顔になんてことするのよ!」
「悪い。俺は美少女にしか興味ない」
「どこからどう見ても美少女でしょうが!!」
その反応に全員が引き、
「お前、鏡見て出直してこい」
「アンタかなり酷いわね!!」
―――パシンッ!!
いきなり凰の頭上に出席簿が落ちた。
「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」
「ち、千冬さん……」
「織斑先生と呼べ。さっさと戻れ」
「す、すみません……」
どうやら織斑先生が苦手みたいだな。
「まああとで来るからね! 逃げないでよ、一夏!」
「さっさと戻れ」
「は、はいっ!」
それにしても、まさかのさらなるライバル出現か。何義だな……。
俺は後ろの騒ぎを気にせずに自分の席に着いた。
■■■
「お前のせいだ!」
「あなたのせいですわ!」
お昼休み、いきなり一夏に篠ノ之とオルコットが迫っていた。そして食べながら話を聞くということになった。
「ってか、別になんだっていいだろうに……」
「それでも気になるんだよ~」
俺はため息を吐きながら食堂に向かった。
そしてカルボナーラを選ぶと、
「待ってたわよ、一夏!」
残念なゴミ人間が現れた。
「なぁ相川。今朝もいたけどあれ、誰?」
「中国の代表候補生、凰鈴音だって」
「なんか、嫌な予感しかしないのは俺だけか?」
適当に女たちと座り(と言ってもいつもみたいに本音の隣だが)俺たちは一夏たちの様子を見ていた。
「まったく。さっさと告白しないからこういうことになるというのに………」
俺がそう言うと、ここにいた本音と鷹月以外の女子が反応した。
「これに懲りたらさっさとするんだな。まぁ、正攻法でどうにかなる相手じゃないけど………」
「それができたら苦労しないと思うよ~」
そうだよなぁと思いながら俺は水を飲むと、
「一夏、そろそろどういう関係か説明して欲しいのだが」
「そうですわ! 一夏さん、まさかこちらの方と付き合ってらっしゃるの!?」
面倒な奴らだな。
「べ、べべ、別にあたしは付き合ってるわけじゃ………」
「そうだぞ。なんでそんな話になるんだ。ただの幼なじみだよ」
はぁ。また致死率が上がったな。
しかも、どうやら篠ノ之は知らなかったらしく、入れ違いで転校してきたらしい。
(さっさと食ってここから離れよう。別に一夏に興味なんてないし)
そもそも、俺には関係ないし。
しかも腕には相当自信があるらしく、篠ノ之とオルコットを怒らせていた。
「かざみん。勝てる?」
「どうだろうな? 相手がどれほどかわからないし、何より情報が少なすぎる。まぁ、骨を残さないでいいのなら圧倒的な差の火力で潰すけど」
―――ダンッ!!×2
「一夏に教えるのは1組の役目だ! 頼まれたのは私たちだ!!」
「あなたを祐人さんのスケジュールに組み込む余裕なんてありませんわ!!」
どうやら凰が余計なことを言ったらしく、オルコットが余計なことを言っていた。
「ちょっ!? あいつがスケジュールを管理してるの!? だったらあたしも入れなさいよ!!」
「悪いな。朝は篠ノ之と生身を鍛え、昼休み以外はクラスメイトで教えるが上手い奴が知識を教え、夕方がオルコットとたまに俺が参加してISで特訓だ。オルコットの言うとおり余裕などない」
「それをなんとかするのがアンタの仕事でしょうが!! それともアンタは無能なの―――」
誰かが何か言ったみたいだが、既に手遅れだった。
「………何? お前だって告白できない無能だろ? 入る場所がないからやつあたり? 雑魚風情がそんなに死にたいわけ?」
―――ミシミシミシミシ
「か、かざみんストップ!! 音がするから!!」
「大丈夫。空耳だ」
「いや、本当に聞こえるんだけど………」
とりあえず、近くにゴミ箱があったので粗大ゴミと書かれた紙を頭に置いておく。
「………なんでだろう。風宮君を見ていると男が弱いなんて概念が薄れると同時に恐怖するんだけど」
「人質を取ってても平気で攻撃しそうだね………」
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