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ハッピークローバー

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第九十九話 寝られるだけでもその五

「長生き出来ないそうよ」
「そうなのね」
「もう三日連続徹夜しても平気とかね」 
 その様にというのだ。
「若い頃はそうだったっていう人は」
「若い頃はよくても」
「長生きはね」
 これはというのだ。
「出来なかったそうよ」
「身体に負担かかって」
「手塚治虫さんとか石ノ森章太郎さんとか」 
 戦後日本の漫画を支えた偉人達である、トキワ荘というアパートで若き日々を過ごしたことでも有名である。
「藤子不二雄さんも赤塚不二夫さんもね」
「藤子不二雄さんってお二人でしょ」
 二人の共同執筆でのペンネームだった。
「後でFさんとAさんに分かれたけれど」
「あれ何か遺産のことでね」
「揉めない様になの」
「それぞれ著作権はっきりさせる為に」
 それが目的でというのだ。
「分かれたって聞いたわ」
「そうだったの」
「二人の共同執筆だと」
 この形ではというのだ。
「お二人にそれぞれね」
「著作権がいって」
「作品ごとの収入がどうか」
「揉めるから」
「だからね」
 そうした事情があってというのだ。
「それでね」
「コンビ解消して」
「分かれたらしいわ」
 だが絆は永遠でF氏即ち藤本氏が世を去った時A氏即ち安孫氏は非常に落胆し嘆き悲しんだ姿を多くの人が見た。
「喧嘩じゃなくて」
「遺産ね」
「それのことでね」
「ややこしい問題ね」
「余の中のね、それでね」
 理虹はあらためて話した。
「この頃の漫画家さん達は」
「徹夜上等で」
「三日位ね」
「そうした生活で」
「それが祟って」
 その結果というのだ。
「若くして、だったらしいわ」
「それで理虹ちゃんとしては」
「健康でね、長生きもしたいし」
 こう考えているからだというのだ。
「よく寝たいわ」
「そうなのね」
「そんな修行は」
 仏教の禅宗の様なというのだ。
「私は無理だし絶対にね」
「しないのね」
「よく寝るわ」
 そうするというのだ。
「これからもずっとね」
「そうするのね」
「それによく寝たら気持ちいいし」
 身体の調子がよくてというのだ。
「幸せよ」
「そうもなれるのね」
「だからね」
「これからもなのね」
「よく寝るわ」
 そうしていくというのだ。
「本当にね」
「理虹ちゃんはそう言うなら」
 クラスメイトはそれならと答えた。
「そうしたらいいわ」
「悪いことじゃないのね」
「よく寝て何が悪いか」
 それはというと。 
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