ハッピークローバー
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第九十八話 何でも読めることその十一
「絶対にだよ」
「やったらいけないわよね」
「それをやったら叩かれて当然だよ」
「実際に叩かれたわね」
「そうならない筈がないんだよ」
「あんなのはじめて見たわ」
留奈はむっとした顔で述べた。
「正直言って」
「俺もだよ」
兄もだった。
「あれはな」
「はじめて見たのね」
「ああ」
そうだったというのだ。
「本当にな」
「下書きで出すとか」
「幾ら何でもな」
「やったら駄目よね」
「漫画家としてな」
「他にやった人いるかしら」
「いるみたいだぞ」
兄はすぐに答えた。
「その人以外にもな」
「いるの」
「所謂エロ漫画でな」
「成人漫画ね」
「そっちでな」
「やった人いるの」
「流石に数える程しかいないらしいけれどな」
それでもというのだ。
「いたらしいな」
「そうなのね」
「それでやっぱりな」
「叩かれたのね」
「これは絶対にな」
漫画家としてというのだ。
「やったらいけないことの一つだからな」
「それでなのね」
「本当にな」
それこそというのだ。
「そっちの漫画家さん達も叩かれたらしいな」
「そうなのね」
「漫画描くならな」
それならというのだ。
「下書きじゃなくてな」
「ちゃんと描き終えて」
「そしてな」
「編集者さんに渡して」
「やらないと駄目だろ」
「それを下書きのままだと」
「どうしようもないだろ」
こう言うしかないというのだ。
「それこそな」
「もうそう言っていい位ね、まあ二度とね」
留奈は口をへの字にさせて言った、目も顰めさせてそのうえで兄を見て口調に実に嫌そうに話した。
「ああしたことはね」
「やって欲しくないな」
「読んでいる方が嫌になるから」
「ただでさえ描かないのにな」
「もうあからさまにね」
こう言っていいまでにというのだ。
「やる気がないって思えるから」
「そうだよな」
「本当にね」
それこそというのだ。
「やって欲しくないわ」
「やっていいことと悪いことあるしな」
「漫画家さんもね」
「どんな仕事でもな」
「ええ、しかしね」
あらためてだ、留奈は言った。
「終わるかしら」
「いや、終わって欲しいとしかな」
「お兄ちゃん言えないの」
「その作品についてはな」
どうしてもというのだ。
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