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ハッピークローバー

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第九十八話 何でも読めることその九

「メジャーになったけれどな」
「その作品で編集部と揉めて」
「それでだよ」
「今もなのね」
「描けなくなったらしいな」
「そうなのね」
「週刊連載でもな」
 それでもというのだ。
「月一回どころじゃない位な」
「描けなくなったのね」
「みたいだな」
 こう言うのだった。
「その人は」
「そうだったの」
「まあ作者さんはもう一生食えるだけ稼いでて」
 兄は少し笑って話した。
「奥さんだってそうだしな」
「ああ、奥さんもね」
「滅茶苦茶売れただろ」
「セーラー何とかで」
「社会現象になってな」
「今もリメイクされてる位ね」
「ゲームにもなって特撮にもなってな」
 そうしたこともあってというのだ。
「本当にな」
「物凄いヒットだったから」
「奥さんも一生食えるだけ稼いだからな」
 だからだというのだ。
「本当にな」
「お金には困ってないのね」
「全くな」
「それはいいことね」
「けれどな」
 それでもというのだ。
「描いたらな」
「最後までよね」
「描いて欲しいのがな」
「読者の気持ちよね」
「それで読者さんのそうした気持ちにな」
 結末まで読みたいというそれにというのだ。
「作者さんもだよ」
「応えないと駄目よね」
「それが最低限の責任だろ」
 作者のというのだ。
「終わらせる位はな」
「そうよね、本当に最低限のね」
「その作者さんそれがな」
「出来てないわよね」
「絶対に結末まで読みたくて」
 そう願っていてというのだ。
「お亡くなりになった人だってな」
「いるわよね」
「それも普通に週刊連載してたら終わってるだろ」
 今留奈が読んでいる作品はというのだ。
「やっぱりな」
「そうよね」
 留奈もそれはと返した。
「だって一ヶ月に一回位しかね」
「それでも多いだろ」
「一年に十回位しか描いてないから」
 だからだというのだ。
「進まないのも当然で」
「週刊誌で全うに連載していれば」 
 それならというのだ。
「もうな」
「終わってるわね」
「絶対にな」
 まさにというのだ。
「その筈だよ」
「そうよね」
「だから完結を待たないでな」 
 そうしてというのだ。
「お亡くなりになった人だってな」
「ファンの中にはおられるのね」
「絶対な、まあそんなこと言ったら話は変な方向にいくからな」
 そうなるからだというのだ。 
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