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おぢばにおかえり

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第七十七話 おみちの本その十

「結構に感じていて」
「幸せなのね」
「はい、僕には何も言いませんけれど」
「そうなの」
「いつも可愛がってくれて。ただおばちゃんとポポちゃんなら」
 新一君の中のお二人の呼び名も出して言うのでした。
「本当にひながたにすべきですね」
「そうしてね」
「それじゃあ」
「最近言ってるけれどね」 
 いい人をひながた、お手本にする様にです。
「反面教師を見るよりもいいから」
「本当にそうですね」
「是非ね」
「はい、先輩もそうしておられますし」
「そうよ、私はそうした人が沢山いるから」
 結構なことにです。
「嬉しいわ」
「近くにいい人がいることはそうした意味でもいいですね」
「そうよ、だから新一君もね」
「そうなる様にします」
「是非ね」
 こう新一君に言いました、ただ。
 新一君はここで私の肩に手をやってきました、それで驚いて言いました。
「どうしたの?急に」
「ゴミ付いてました」
「ゴミ?」
「はい、糸クズが」
 それがというのです。
「付いてました」
「そうだったの」
 見れば新一君の手にあります、それでほっとして言いました。
「何かと思ったわ」
「驚かれました?」
「ちょっとね」
 いきなり手をやられたので。
「だからこれからは事前に行ってね」
「何かあった時はですね」
「ゴミを取ってくれることは嬉しいけれど」
 それでもです。 
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