イベリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百十九話 秋という季節その十
「反省しないからね」
「確かに巨人って反省しないですね」
「そうだよね」
「はい、もうです」
それこそというのだ。
「何があってもです」
「反省しないね」
「同じこと繰り返していますね」
「だからああなってるけれど」
万年最下位の状況に陥っているというのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「何があっても反省しないから」
それ故にというのだ。
「どんどんね」
「悪くなるだけですね」
「それでそんな巨人がね」
部長は嫌そうに話した。
「ずっとね」
「人気あったんですね」
「昔の子供の好きなものは」
昭和三十年代のことである。
「大鵬と卵焼きと」
「巨人だったんですね」
「戦後の日本ってこんなのだったから」
「哲学もですね」
「倫理観がおかしいのに」
巨人の様な邪悪そのもののチームが人気だったことにそれが表れているというのだ、部長は苦々しい顔で話した。
「それでね」
「まともな哲学があるか」
「そんなことはね」
それこそというのだ。
「有り得ないよ」
「北朝鮮や巨人がいいとされていた」
「そんな状況でね」
「倫理観がまともな筈なくて」
「そうだとね」
「哲学もですね」
「まともな筈がないよ」
こう咲に話した。
「それでだよ」
「実際にですね」
「吉本隆明みたいな」
「碌でもない人がですね」
「戦後最大の思想家って言われてたんだよ」
「そうですか」
「吉本隆明の本を読んでも」
部長は具体的に話した。
「得られるものなんてね」
「ないですか」
「何もね」
それこそというのだ。
「ないよ」
「そうですか」
「僕も読んだことないしね」
部長自身もというのだ。
「何でも何を書いてるかわからない文鳥書いてて」
「意味不明な」
「その時は持て囃されていて」
「そんな文章書いていて」
「それで普通の文章を書く様になったら」
その時はというと。
「只の思想家になったそうだよ」
「他の人と同じ」
「そうなったみたいだよ」
「そうですか」
「難しい、何を書いてるか言ってるかわからないなんて」
そうした文章はというと。
ページ上へ戻る